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『葡萄酒いろのミストラル』リーフレットと公演特設ページができました! [劇作家の時間]

まさしく三度目の正直、新型コロナによって二度の公演延期を経て、
今年の5月に今度こそ上演したい劇団結成20周年記念公演第二弾
『葡萄酒いろのミストラル』の公演特設ページができました。
リーフレットができて、ホームページがオープンすると、いよいよだなと感じます。


今回も絵本作家なかむらしんいちろうんさんによる渾身のイラストです。

通常、絵は(宣伝目的の場合は特に)メインになる何かを描くことがほとんどで、
「シンボルになるアイテムがない」絵を描いてもらうのはこれが初めてかも知れません。
ですから、打ち合わせでちゃんとイメージをお伝えできるかとても不安だったのですが、
出来上がったイラストを拝見した時、
自分の脳内に思い描いていたイメージにあまりにもハマり過ぎて言葉が出ませんでした。
(おそらく顔はにやけていたと思います)
この作品はこれまでに三度上演していますが、今回のメインビジュアルは
その時に作成したデザインとはまったく異なるものです。
作品に対する僕自身の解釈の変化ということもあるでしょうし、
今回は今回で「ゼロから新しい作品を創ろう」という覚悟の表明でもあります。

このイラストを見て、みなさんが感じるものは、きっと十人十色です。
僕なんかの具体的な説明の言葉はむしろあるべきではないと思います。
それほど柔らかで深い世界がそこにあります。

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このイラストをふんだんに使ったリーフレットは久しぶりの二つ折仕様です。
宣伝美術の廣神法子さんの魔法で今回もかわいくポップな仕上がりになっています。
「紙をめくる」ってわくわくしますよね。
何でもWEB化の時代ですが、手ざわり感のあるリーフレットは、
ナマのエンターテインメント「演劇」と通じるものを感じます。
綴じられた中面をめくると、作品のさらなる世界が広がりますよ。


このリーフレットは都内の演劇公演で配布するほか、
墨田区のシアターキューブリックのショップに置いてあります。
もし数が余れば、ミストラルの公演の際、劇場ロビーに置いてあるかも知れません。



一方、公演ホームページのメインビジュアルは、
カメラマン渡辺慎一さん撮影による写真です。
作品のモチーフでもある宮澤賢治さんが愛した自然をイメージしたものです。

実は高橋茉琴が着ているワンピースは、20年前の2002年初演時の撮影で
主演の漢那悦子が着ていた衣裳なのです~。
作品のそうした歴史も、そっと織り込まれていますよ。


公演ホームページはこちらです。ぜひご覧ください。
https://qublic.net/20mistral/


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▲ホームぺージのトップで使用している写真とは別ショットです。

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『葡萄酒いろのミストラル』の公演再延期 [劇作家の時間]

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10月に上演を予定していた次回公演『葡萄酒いろのミストラル』が
ふたたび公演延期となってしまいました。
公演を楽しみに待ってくださっていた皆さん、
二度も延期となり本当に申し訳ありません。

シアターキューブリック公式ホームページの延期のお知らせ
→ https://www.qublic.net/


この作品は、劇団結成20周年記念公演第二弾として
もともとは2020年の10月の上演予定でした。
昨年春、新型コロナウイルスの発生によって
一つ前の作品『幸せな孤独な薔薇』とともに、
2021年の春と秋へとそれぞれ延期となり、今年こそは、
皆さんと一緒に1年遅れの20周年を迎える気持ちで準備を進めていました。


今年10月への公演延期を決めた1年以上前は、
「2021年の後半にもなれば、さすがに世情も落ち着きを取り戻して、、、」
という希望を持ち、変異株ウイルスなどがここまで猛威を振るうとは予想していませんでした。
根拠薄弱でもそういう希望を持つ以外、
初めて立ちはだかる難局を乗り切る術を持たなかったのだと思います。



そして今回も、ほぼ根拠のない希望を強く持って
公演中止ではなく「延期」としました。



今年の夏、秋と、舞台公演は確実に増えてきています。
これはとても喜ばしいことです。
各団体が作品づくりの傍ら懸命に感染対策を打ち、
そして多くのお客さんが惜しみなく協力を重ねてきた成果だと思います。

そうしたなか、今回のシアターキューブリックのように公演から2ヶ月も前に
延期を決定するほうがレアなケースなのではないでしょうか。



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おそらくこのまま最大限の対策をとりながら準備を進めていけば、
10月の公演を実現することは出来たと思います。


ですが、多くの皆さんに劇場空間で楽しんでほしい作品であるにもかかわらず、
大手を振って「ぜひ観にいらしてください!」と
言いたくても言えない状況が少なくともしばらくは続くことや、
「劇場で観たい!」と思ってくださっているのに、
遠方であるがゆえに行くに行けない、または感染が不安で行けない、
というお客さんのご事情を考えた際、
今のこのタイミングで公演を行なうことは、
誰にとってもあまり幸せなことではないと判断いたしました。




シアターキューブリックは小さな劇団ですが、
遠方にも多くのお客さんがいてくれる、とても幸せな劇団です。
そしてこの作品を大好きでいてくれている皆さんが、
そうした遠方にたくさんいらっしゃるのをよく知っています。

昔と違ってオンラインで作品をご覧いただけることは幸せなことですが、
「ほんとうだったら劇場で観たかった…」と残念な気持ちになる人は
一人でも少ないほうがいいに決まっています。

僕らは映像作品ではなく、
ナマの劇場空間でお客さんと一緒に唯一無二の時間を紡ぐ演劇作品を創っている人間たちですから、
お客さんのそうした想いに敏感にならざるを得ません。


今回の延期は『葡萄酒いろのミストラル』という作品を
多くの皆さんと一緒に楽しみ尽くすための最善策だと思っています。

皆さんにお待ちいただく期間はまた延びてしまいましたが、
そのぶん、皆さんに楽しんでいただける工夫を凝らしていきます!


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今回の公演延期お知らせの末尾には、
シアターキューブリック劇団員一同とは別で、
今回集まってくれた素晴らしい客演陣をはじめとする
【公演メンバー一同】という記名もあります。
この作品はすでに一人も欠くことのできない座組として動き始めています。

13名のキャストをはじめ、その他の劇団メンバー、
そして鉄壁のスタッフ陣で最高の作品づくりを目指します。
ぜひ楽しみにしていてください!!!




シアターキューブリック結成20周年記念公演第二弾
『葡萄酒いろのミストラル』
作・演出 緑川憲仁
メインテーマ 「ミストラル~季節風~」岡村孝子

公演時期 ナマで観たいと思ってくれている方々が劇場に観に来られるようになった時
恵比寿・エコー劇場

キャスト
高橋茉琴 片山耀将 奥山静香 千田剛士 榎本悟
七味まゆ味[柿喰う客] 鈴木研[第27班] 野原のぼ
星宏美 品川ともみ 冨田恭子 太田朱香 / 井俣太良[少年社中]


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『幸せな孤独な薔薇』オンライン配信公演6/6まで上演中です! [劇作家の時間]

不思議な感覚です。
『幸せな孤独な薔薇』の舞台装置はもう劇場にはありません。
僕も俳優陣もスタッフも劇場には居りません。
浅草九劇での公演は、おかげさまで26日に千穐楽を迎えることができました。
本来なら、その時点で皆様にお礼を申し上げるべきところですが……、

今回の公演はまだ終わっていないのです。


昨年、新型コロナウイルスの影響によって1年延期となり、
心のなかでは、世の中に落ち着きが戻ったなかでの公演を願っていたのですが、
そううまくもいかず、劇場で観たいと思ってくださっていても、
劇場まで来られないお客さんが大勢いるであろう中での公演となりました。

そのため、公演期間中盤の5月23日の2ステージは、
劇場での公演と並行して、劇団初の「オンライン配信公演」を実施しました。

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本来、演劇とは劇場空間で演者と観客とが想いを響かせ合って創る娯楽です。
今でもそのこだわりは変わりません。
一方で、劇場の臨場感を映像でどこまでお届けできるか、という挑戦に
今回ばかりは挑まない訳には行きませんでした。
僕は演出家ではありますが、映像に関しては完全に素人ですから、
映像演出にはCMクリエイターとして大活躍している松宏彰さんを迎え、
撮影のシステム構築をかすや舞台記録の粕谷晃司さんにお願いする、
というガッチガチの布陣で臨みました。
舞台に向けられたカメラは11台、うち7台がナマ配信で稼働しました。
(ほかのカメラで収めたものは、またのお楽しみです(笑))


その舞台映像のオンライン公演『幸せな孤独な薔薇』がありがたいことに大評判で、
急遽、終演後の購入と6月6日までの視聴ができるように変更しました。
「えっ、これ舞台だよね、映画じゃないよね……?」と思ってしまう瞬間がしばしば。
舞台美術は、まるで本物の外国のお屋敷のようだし、
キラキラの照明は、おひさまのぬくもりと緑の匂いを感じさせてくれます。
浅草九劇はオンライン配信公演のサービスを売り物にしている劇場さんなのですが、
その九劇のスタッフさんですら、目を丸くしたハイクオリティ。

自分で演出した作品であることには間違いないのですが、
もはや自分の手を離れすぎて、
「知ってる俳優陣と監督さんが創った傑作」みたいな感覚さえあります…(笑)



忙しい日々のストレスで心が疲れてしまっている方、

「どうせ自分なんか…」という気持ちが爆発してしまいそうな方、

「エンゲキ」なんてよく分からないし、劇場に行くのも面倒だし……という方、

シアターキューブリックの作品は好きだけど、東京は遠くてムリ…という方、

今回は人が多い場所に行くのが不安で自粛したけど、ホントは観たかった…という方、

ローカル鉄道演劇のシアターキューブリックしか知らない方、

惑星ピスタチオの平和堂ミラノさんファンだった方、

そして『幸せな孤独な薔薇』という作品を愛してくれている方、


ぜひこの作品に触れてみてください。
きっと、みなさんにとって大切な何かをお届けできると思います。

もちろん、劇場で観てくださったみなさんも、
客席からとはまったく違う角度と至近距離からあらためてこの作品に迫ることができます。

上演時間は1時間45分、休憩なしです。
ご自宅で、映画を観るような気分で『幸せな孤独な薔薇』、とてもオススメです。



シアターキューブリック『幸せな孤独な薔薇』LIVE配信アーカイブ
5月26日10:00~6月6日23:59 購入・視聴可能
Paskipよりチケット購入、アーカイブ視聴できます。
会員登録をしてご購入ください。
会員登録→https://live.paskip.jp/

13時回アーカイブ販売:https://live.paskip.jp/ticket?bcid=bTl9wG7twS3rlKpLApPz9A

17時回アーカイブ販売:https://live.paskip.jp/ticket?bcid=m2OAzectQ5sjOiCs6zvFZQ


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『幸せな孤独な薔薇』ただいま上演中&オンライン配信公演あります! [劇作家の時間]

昨年4月、新型コロナウイルス感染症拡大により公演延期を余儀なくされた
シアターキューブリック20周年記念公演第一弾『幸せな孤独な薔薇』は、
緊急事態宣言下ではありますが、国の要請に従い50%収容規制のもと
5/20(木)、無事に公演の幕を開けました。

おかげさまで、全11ステージのうち5ステージを終えることができました。
ご来場くださった皆様、ご声援くださった皆様、ありがとうございました。
人と人とが顔を合わせ直接ふれあう劇場空間の、なんと幸せなこと。
キャスト・スタッフが総力を挙げ創るライブを直接お届けできることの、なんと幸せなこと。
カーテンコールでの俳優たちの表情と、お客さんの笑顔を見て、
生まれて初めてのこの一年の経験は、けっして無駄になっていなかったことを感じました。


同時に、すべての皆様に安心してライブエンターテインメントを
楽しんでいただける段階には至っていないことも痛感しております。
会場では消毒・検温から始まり、マスク着用はもとより、
最前列のお客さんにはフェイスシールドを付けていただいています。
さまざまなご不便をおかけしていることを申し訳なく思っています。
そして、まだ多くの方がさまざまな事情や制約によって
ナマで演劇をご覧になりたくても叶わない状況にあることも忘れていません。


今回は、劇場での11回の本番のほか、オンライン配信公演を準備しています。
明日5月23日(日)13:00と17:00の回は、
4日間のアーカイブ視聴期間を設けたオンライン配信ステージとなっています。
コロナの前から「東京まで行くのはさすがに遠すぎる」という
お客さんもたくさんいらっしゃったと思います。
ですので、ぜひこの機会に、映像配信ではありますが、
久しぶりにシアターキューブリックの公演を楽しんでいただきたいと思います!

映像の演出には、これまで数多くのテレビCMを手がけた松宏彰さんを迎え、
これまたキューブリックでは全幅の信頼を置く粕谷晃司さんの撮影のもと、
劇場の通常の客席ではご覧になれないような趣向を凝らした、
『幸せな孤独な薔薇』を全世界へナマでお届けしたいと思っています。
ナマですから、映像編集期間は当然ゼロ秒です!!ドッキドキです!!


心が暗くなりがちなこの今だからこそ、再延期をせず、
この作品を上演をしようと決意した座組全員の情熱が舞台にほとばしっています。
それから21年前にこの作品を遺してくれた田嶋ミラノさんへの想いも。
是非とも、今、みなさんにお届けしたい物語です。

★公演サイトはこちら。(オンライン公演を含めた)ご予約もこちらからどうぞ!
https://qublic.net/20shiawase/

劇場公演のオススメ回は23(日)17:00の回と、24(月)19:30の回です!
(5/22夜時点におきまして)

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『幸せな孤独な薔薇』さようなら稽古場 [劇作家の時間]

もう梅雨に入ったような東京です。
5月16日。稽古場での最後の稽古が終わりました。
いよいよ僕らはお客さんたちより一足早く劇場へとまいります。


最後の稽古となったこの日、二度の通し稽古を終えると、
いつもの公演稽古最終日とはまったく違う雰囲気でした。
なにやらひとつの公演を終えた千穐楽終演後のような空気でした。
この公演のいちばん初めの稽古は、はるか昔、昨年3月2日。

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それから1年2か月と半月。

途中1年、稽古がなかった期間がありましたが、
俳優たちもこの僕も、生身の人間としてしっかりと毎日を生きてきて、
稽古が行われていなかったあいだも、それぞれ作品と向かい合っていたんだなと。
稽古場でみんなの芝居を見ていると、発酵を帯びているのがよく分かりました。
そういう意味においては、この作品は1年2か月半の稽古期間だったんだと思います。

通常時の10倍の長さです。


今回、稽古を再開して、1回目の通し稽古を行なうまで、
たった10日間だったのですが、役者たちは皆、口を揃えて、

「セリフや段取りを覚え続けていたわけではないけど、
ふだん一本の公演が終わった時のように、
けっして引き出しの奥にしまった気持ちではなかった」と。


そうした言葉に裏付けられるように、
この作品の空気感はメンバーの誠実さで溢れています。
メンバーへのリスペクト、作者・田嶋ミラノさんへのリスペクト、
お客さんへの感謝とおもてなしのこころ。
演劇というのは、ナマの空間において、理屈の次元を超えた
そうした「空気」がお客さんに伝わるものです。
その空気を伝えたくて、共有したくて、演劇を続けている、と言ってもいいくらい。


だから、いよいよその空気を皆さんへ届けられる時が来たのだと思うと、
どきどきわくわくが膨らみますが、
同時にこの長期間の「生活」ともいえる稽古期間が遂に終わったことを思うと、
稽古の目的からはかなり逸脱した感情なのは分かっていますが、
とても淋しく、侘しい気持ちになりました。


でも、劇場に入ったら、ふたたび戦闘モードに切り替わることも知っています。

このような時節に、ライブエンターテインメントを開催できることに感謝しながら、
ライブでしかお届けできない大切なものを皆さんと共有したいと思います。
それから5月23日(日)は、オンライン配信公演も2ステージあります。
アーカイブ期間もありますので、諸事情で劇場にいらっしゃれない方は、
ぜひ『オンラインな幸せな孤独な薔薇』をご覧ください。

さようなら、稽古場。ありがとう、稽古場。


17日時点の残席状況はこちら。
https://qublic-nikki.blog.ss-blog.jp/shiawase-zanseki

ご予約フォームはこちら。
https://ticket.corich.jp/apply/111972/011/

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▲2020年4月1日。公演延期が決まった日の集合写真。

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▲2021年5月16日。最終稽古を終えた日の集合写真。


シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ  演出 緑川憲仁
5月20日(木)~26日(水)
浅草九劇

【キャスト】
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅

【上演時刻】(上演時間1時間45分)
20 木 19:30◎
21 金 14:00  19:30
22 土 13:00  17:00
23 日 13:00☆ 17:00☆
24 月 14:00  19:30
25 火 19:30
26 水 17:00

【観覧料】(全席指定) 
一般前売 4,700円
◎幸せな初日割 4,500円
当日券・当日精算 +300円
☆ライブ配信 4,000円
※未就学児の場内観劇はできません。

チケット発売中!!
公演特設サイト https://www.qublic.net/20shiawase/
電話 070-5592-4003

上演にあたり、新型コロナウイルス感染症予防対策を行っております。
ご予約、ご来場前に必ず公演特設サイトをご確認ください。
感染症対策へのご協力をお願いいたします。
https://qublic-nikki.blog.ss-blog.jp/shiawase-covidtaisaku

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電車を止めるな! [劇作家の時間]

シアターキューブリックの“ふるさと”と言っても過言ではない、
千葉県のとっぱずれ、銚子。そして銚子電鉄。
2008年に上演した(おそらく)日本初のローカル鉄道演劇『銚電スリーナイン』は、
今にして思えば、銚子電鉄さんの「何事にも挑戦する」「絶対にあきらめない」
そうした社風から発祥したものかも知れません。
その後、シアターキューブリックと銚子電鉄さんとは、
2009年の『銚電スリーナイン~さようなら、イワシ号~』
2018年の『銚電スリーナイン~Return to the Roots~』
でコラボレートさせていただき、エンタメを活用した地域振興のモデルとして、
何度もメディアに取り上げられました。
そのおかげで、「シアターキューブリックといえばローカル鉄道演劇」、
いつしかそんなふうに評してもらえるようになりました。


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銚子電鉄さんといえば、ぬれ煎餅で経営危機を乗り越えたことで有名ですが、
その経営危機はけっして過去のものではなく、今も変わらず経営難と格闘されています。
そうしたなかで出てきたのが銚子電鉄の映画『電車を止めるな!』
数年前の某大ヒット映画からタイトルイメージを拝借しているのは明らかで、
しかもホラーなんだか、コメディなんだかよく分からない、B級っぷりを醸し出し、
B級どころか、“銚子だけに超C級”と、竹本社長のマシンガンの駄洒落は止まらず。
「話題性はそこそこだけど、作品の質としては、まあ仕方ないんだろうなあ……」
みたいな世間のイメージに、僕も流されかけていたのですが、
先日ようやく拝見する機会をいただきました。


劇団員の千田剛士がいつも通りかなり溶け込んだ様子で出ていたり、
元メンバーの谷口礼子がそれはそれはぴったりの役を演じていたり、
村井美樹さんはじめ知り合いがたくさんスクリーンの中にいたりするので、
少し贔屓目かも知れませんが、少なくとも超C級ではありません(笑)
僕が舞台業界の人間だからかも知れませんが、
まるで元気な若手劇団の公演を観たような感覚になりました。
多少粗さはあるけど、思わず味方にさせられてしまう情熱がみなぎっている、
そんな感じでした。
そして、銚子に行ったことのない人はきっと、
こんな面白い人たちが動かしている銚子電鉄とはいったいどんな鉄道なんだろう?
と気にせずにはいられなくなると思います。

東京から2時間、日帰りでも泊まりでも遊びにいける銚子。
速いもの、新しいもの、便利なものに囲まれている日常から、
ちょこっとだけ外れた銚子時間は、きっとやみつきになりますよ。
ぜひ、『電車を止めるな!』をご覧になって、そして銚子へお出かけください。
(なぜか映画関係者のような発言…(笑))

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来年のきょうは初日 [劇作家の時間]

ほんとうなら1ヶ月前に11公演を完走していた舞台『幸せな孤独な薔薇』。
劇団結成20周年を記念する第一弾の公演であると同時に、
僕自身、そして劇団の仲間たちも、深く思いを寄せた作品。
一度は完成直前まで仲間たちと作品を磨き上げたのですが、
新型コロナウイルス感染拡大を受け、公演延期となってしまい、
1年もの期間、おのおのの中でしばらく寝かせることになりました。


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ひとつの作品について、こんな向き合い方をするのは、僕は初めてです。
きっと1年の長さを感じないほどに、
稽古で積み上げた感触が、明瞭に、そして濃く、
自分のなかに保たれたまま、稽古を再開するイメージしかありません。
きっとそうなります。
そしてこれから1年という時間のあいだに蓄積される、
仲間、作品、お客さん、演劇、人生、さまざまなものに対する思いが
そこに乗っかってくるのでしょう。




きっと、これは、めぐりあわせです。


敬愛する演劇界の先輩だった田嶋ミラノさんの、大好きな作品。
いつかこの作品をやりたいと、ずっと思い続けていた僕にとっては、
むしろ「ごほうび」のような感じすらあります。
(もちろん、たくさんご迷惑をかけましたし、経済的にも大変ですが。)



そして、来年のきょう2021年5月20日が、公演の初日です。
もちろん、1年後の社会がどのようになっているか、これは誰にも分かりません。
けれども、大切な仲間やお客さんと、この約束をしていること自体が、
ぼくにとって何よりの宝物、生きている証です。

5月といえば、20年前の『幸せな孤独な薔薇』が上演された季節。
その季節に、公演を約束している奇跡を思いながら、
一日一日大事に生きていきたいと思います。




シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ 演出 緑川憲仁
2021年5月20日(木)~26日(水)
浅草九劇

キャスト
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅


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TBS情報番組「グッとラック!」取材で語ったこと [劇作家の時間]

立川志らくさん司会のTBS情報番組「グッとラック!」に
コロナウイルスの影響を大きく受けたエンタメ業界のはしくれとしてインタビュー出演しました。


表現者としての、本当のほんとうの気持ちは、
作品を創作する過程の金銭的なことを含めた苦労話など、
世界に向かって一言も語りたくはありません。
それがエンタメを仕事にする人間としての誇りのようなものでもあります。
俳優たちの多くが演劇とは別の仕事を兼ねていることも、
もはや一般的に浸透しているかも知れませんが、
殊更そのことを活動のなかで発信することも快く思いません。
ひとつの公演を創るのに、どれくらいのお金が動いているとか、
本当にお話ししたくないです。
例えるなら、アイドルがすっぴんの自宅の暮らしを丸出しにするようなものです。
僕たちはお客さんに生きる力や夢を感じてもらって、
みんなが優しい気持ちで楽しく生きていくための存在だと思うからです。

ですが、今回のインタビューでは、放送されていない部分も含めると、
本当はお話ししたくないことばかりを淡々とお話させていただきました。
ただただ心を無にして淡々と話をするしかなかったようにも思います。



ありがたいことに、すでにいくつかの政策が進んでおり、
芸術団体を救済する内容も多少はあります。
ですが、現場の実感としてはまったくと言っても言い過ぎではないくらい、
「救済」になっていない(ならないだろう)というのが正直なところです。
大企業とは違いますから、この業界、内部留保などというものはほぼありません。
つまり直近の公演制作で発生した出費は、
その公演でのチケット収入、グッズ収入、スポンサー収入等で賄うという流れです。
その収入機会が絶たれ、出費だけが残った、
という状態が、業界内大小団体に共通して当てはまることだと思います。
自分たちのギャランティなんて、そもそも二の次です。
それ以外の出費だけでも、僕らくらいの規模の公演でさえ膨大なのです。
その負債があるかぎり、各団体は次の活動ができません。
次の活動自体、いつ再開できるのかもまったく見えていません。
再開までただただ耐え忍ぶ間にも、維持費の大きい芸術団体は倒産し、
小規模な団体で活動する人々は自ら廃業せざるを得ない、
そうした流れが加速するのが目に浮かびます。

「そんな実演団体が全部潰れたって、テレビがあれば娯楽は十分」
と思う人もいるかも知れません。
けれども、実はテレビなどの第一線で活躍している方の多くが、
劇団やバンド、アマチュアのソロ活動を経て活躍されているのです。
テレビがあれば十分という理屈は、瞬間を切り取っただけに過ぎません。
つまり、当たり前のように芸術に囲まれている環境がいつか途絶えるということです。

番組内で鴻上先輩がスティーブン・キングさんの言葉を紹介していました。


「外出自粛を強いられ自宅で過ごす日々、皆は音楽・映画・本に触れずに過ごせるのか」




いま、どの業界からも「補償が絶対に必要だ」という声が日に日に大きくなっています。
補償の話題になると、文化芸術界隈に向けられる声として、「お金がないのはどの業界も同じ、
非常事態の今はエンターテインメントなんて言っていられない、いっそ別の仕事をすればいい」
といったご意見が少なからずあるようです。
ですが、こんな危機になる以前から、
日常的にアルバイトをしながら創作活動、表現活動をしている人はいっぱいいます。
そもそも根源的にお金儲けをしたいのであれば、こんな仕事はやってません。
僕らは自身の生活を守ってほしいが為に支援を要請しているのではなくて、
将来の文化を維持・発展させる流れを守るために要請しているのです。
それには現在のアーティストの活動を守ることが絶対に必要不可欠です。



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▲「収入はゼロ」の男がこちら(笑)
それでも左後方からしっかり岡村孝子さんが見守ってくれています。




今一度。いま人々が自宅で自分の心を励ますことに苦心する日々のなかで、
テレビのバラエティ、音楽、映画、演劇、お笑い、落語、小説、絵画等、
こうしたものに触れたいと思わない人っていますか?
これまでのそれぞれの人生のなかで、
こうしたものから力をもらった覚えのない人っていますか?



僕は思います。衣食住、医療、交通などの生活インフラと同じくらい、
文化芸術は、人間の暮らしにとって必要不可欠なものだと強く思っています。



ですから、どうにかこの危機を乗り越え、
これまで積み重ねてきた活動を途絶えさせることなく、
活動を継続していけるよう頑張ってまいりたいと思います。
(けっきょく今は精神論で終わってしまうのが悔しいところです)

といったようなことも、インタビューではお話させていただきました。



番組制作のTBSの皆さんには大変お世話になりました。
この場をお借りしてお礼を申し上げます。

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『幸せな孤独な薔薇』公演延期のこと [劇作家の時間]

劇団を続けてきて20年、思い出せないくらいいろいろなことがありましたが、
思えば公演初日がとんだり、公演自体が中止になったりしたことは一度もありませんでした。
これも劇団を支えてきてくれたたくさんの人がいるからだとあらためて感じました。
「劇団結成20周年記念公演第一弾」と冠した今公演、
皮肉なことに劇団初の公演延期となってしまいました。
あらためて、公演を楽しみにしてくださっていた皆さま、
日頃より劇団にご声援を送ってくださっている皆さまにお詫びを申し上げます。

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今こうして文章をしたためていても
申し訳なさと悔しさと悲しさと情けなさが込み上げてきます。


創作活動は99%の苦しみと1%のよろこびでできています。
99%の苦しみとは、企画から準備段階を経て、終演後の事務処理に至るまでの
やりがいを伴った多くの格闘であり、
1%のよろこびとは、お客さんからいただく笑顔や拍手に他なりません。
その1%のよろこびさえ、吹き飛びました。
ですが、これもすべて自分で選んだ道を歩む途上で起きた出来事です。
誰の所為でもありません。


公演延期を関係者全員に伝えた4月1日。
雨のなか、いつものようにみんなが稽古場に集まっていました。
飛躍的に魅力度が増した3回目の通し稽古を終えた後、
何からどう話せばよいか分からないまま、みんなの前に立ちました。
このとき、なぜか僕は田嶋ミラノさんの写真が入った額を持っていました。
これまでの全稽古を演出席から見守ってきたミラノさんの写真です。


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「自分の子の首を絞めるのは、こういう気持ちなのか」

そんなような言葉が、いちばん初めに出てきたような、そんな記憶です。
そのあとは何を話したのでしょうか。



演出家とは「みんなを見る」のが大事な仕事で、
だから、いろんな人のいろんな努力を誰よりも感じている自負があります。
俳優の演技のちょっとした変化でさえ、
そこに行くまでに多くの葛藤があったことが想像できます。
スタッフ陣各自の創作作業や事務作業は、分野は違えど、
僕自身の脚本作業でも台詞が一行も進まない日がざらにあることを思えば、
それぞれの孤独な労苦が目の前にはっきりと浮かびます。
そういう時間を重ねてきたみんなを前に、公演延期を告げなければなりませんでした。

悔しさを滲ませ、その気持ちを仲間と共有しながら伝えられる、
僕がそんな人間なら良かったのになあと思うのですが、
こういう時、僕は、心を無にして淡々と言葉を発することしかできない人間で、
それもまたとてもとても淋しく感じました。

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この日の僕が感じられたことは、キャストやスタッフみんなの、
作品や、このチームに対しての無償の愛情と、
自分たちの仕事に対する誇り、それに尽きます。
稽古が始まって1か月、たかだか20回程度の稽古で、
人はここまでひとつになれるのか…と驚くのと同時に、
この奇跡をお客さんのところまでお届けできなかったことが、
ただただ残念でなりません。

たとえ表現者のエゴだと言われようとも、
心穏やかに過ごすこともままならないこの今だからこそ、
万難を排して届けたかった、その気持ちは公演延期を決めた今でも
僕の心にいまだ強く渦巻いています。



そんな自分がいるのなら、大丈夫とも思います。
この公演は中止ではなく飽くまでも延期です。
キャスト・スタッフ全員同じ顔ぶれで、必ず上演することをお約束します。
あらためて上演日程が決定しましたら、ホームページ等でお知らせいたします。
みなさん、ぜひ楽しみに、少し気長に待っていてください。


そして、皆さまくれぐれもせっかくのいのちを大切に。
手洗い、うがい、顔を触らない工夫などしながら、
毎日を楽しく過ごせるよう、助け合ってまいりましょう。


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公演延期を決定した4月1日に撮影したキャスト・スタッフの集合写真。




役者群
眞実
坂本実紅
鈴木研[第27班]
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
奥山静香
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
千田剛士
片山耀将



作    田嶋ミラノ
演出   緑川憲仁
舞台美術 八木橋貴之
照明   森規幸[balance.inc DESIGN]
音響   田上篤志[atSound]
楽曲提供 小松原諒子
ヘアメイク Limo
衣裳   パンダ舎
舞台監督 宮島雄一郎[ステップステージ]

イラスト なかむらしんいちろう
宣伝美術 廣神法子
宣伝写真 渡辺慎一
WEBデザイン 岡下明宏
記録映像 粕谷晃司
舞台写真 宮内敏行
制作   栗原千温[nuclearness合同会社]

浅草九劇
(株)レプロエンタテインメント

伊藤十楽成/市場法子/敷名めぐみ/河野結/榎本悟

協力
NAPPOSUNITED
演劇集団キャラメルボックス
東京ハートブレイカーズ
(株)ALBA
第27班
ECHOES
(有)アールズアーティスト
下町人情キラキラ橘商店街の皆様
(有)ネビュラエクストラサポート
and more

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『幸せな孤独な薔薇』公演延期にともなうチケット払い戻しにつきまして [劇作家の時間]

すでに劇団公式からお知らせいたしております通り、
4月9日から開催を予定しておりました
シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾『幸せな孤独な薔薇』は、
新型コロナウイルス感染拡大の状況とご来場頂くお客様および関係者の
安全性を最優先に考慮し、検討を重ねた結果、延期とさせて頂くこととなりました。
公演を楽しみにお待ちいただいていたお客様には大変残念なこととなり、
またご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありません。
そして急なお知らせとなってしまいましたことを重ねてお詫び申し上げます。
チケットの払い戻しに関しましては、
お買い求めくださった皆様にご案内をお送りしております。
万が一、ご案内がお手元に届いていない方がいらっしゃいましたら、
シアターキューブリックまでご連絡ください。


この度はこのようなことになりまして誠に申し訳ありません。
チケット払い戻しのお手続き等、大変お手数をおかけしてしまいますが、
何卒よろしくお願いいたします。

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