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来年のきょうは初日 [劇作家の時間]

ほんとうなら1ヶ月前に11公演を完走していた舞台『幸せな孤独な薔薇』。
劇団結成20周年を記念する第一弾の公演であると同時に、
僕自身、そして劇団の仲間たちも、深く思いを寄せた作品。
一度は完成直前まで仲間たちと作品を磨き上げたのですが、
新型コロナウイルス感染拡大を受け、公演延期となってしまい、
1年もの期間、おのおのの中でしばらく寝かせることになりました。


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ひとつの作品について、こんな向き合い方をするのは、僕は初めてです。
きっと1年の長さを感じないほどに、
稽古で積み上げた感触が、明瞭に、そして濃く、
自分のなかに保たれたまま、稽古を再開するイメージしかありません。
きっとそうなります。
そしてこれから1年という時間のあいだに蓄積される、
仲間、作品、お客さん、演劇、人生、さまざまなものに対する思いが
そこに乗っかってくるのでしょう。




きっと、これは、めぐりあわせです。


敬愛する演劇界の先輩だった田嶋ミラノさんの、大好きな作品。
いつかこの作品をやりたいと、ずっと思い続けていた僕にとっては、
むしろ「ごほうび」のような感じすらあります。
(もちろん、たくさんご迷惑をかけましたし、経済的にも大変ですが。)



そして、来年のきょう2021年5月20日が、公演の初日です。
もちろん、1年後の社会がどのようになっているか、これは誰にも分かりません。
けれども、大切な仲間やお客さんと、この約束をしていること自体が、
ぼくにとって何よりの宝物、生きている証です。

5月といえば、20年前の『幸せな孤独な薔薇』が上演された季節。
その季節に、公演を約束している奇跡を思いながら、
一日一日大事に生きていきたいと思います。




シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ 演出 緑川憲仁
2021年5月20日(木)~26日(水)
浅草九劇

キャスト
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅


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TBS情報番組「グッとラック!」取材で語ったこと [劇作家の時間]

立川志らくさん司会のTBS情報番組「グッとラック!」に
コロナウイルスの影響を大きく受けたエンタメ業界のはしくれとしてインタビュー出演しました。


表現者としての、本当のほんとうの気持ちは、
作品を創作する過程の金銭的なことを含めた苦労話など、
世界に向かって一言も語りたくはありません。
それがエンタメを仕事にする人間としての誇りのようなものでもあります。
俳優たちの多くが演劇とは別の仕事を兼ねていることも、
もはや一般的に浸透しているかも知れませんが、
殊更そのことを活動のなかで発信することも快く思いません。
ひとつの公演を創るのに、どれくらいのお金が動いているとか、
本当にお話ししたくないです。
例えるなら、アイドルがすっぴんの自宅の暮らしを丸出しにするようなものです。
僕たちはお客さんに生きる力や夢を感じてもらって、
みんなが優しい気持ちで楽しく生きていくための存在だと思うからです。

ですが、今回のインタビューでは、放送されていない部分も含めると、
本当はお話ししたくないことばかりを淡々とお話させていただきました。
ただただ心を無にして淡々と話をするしかなかったようにも思います。



ありがたいことに、すでにいくつかの政策が進んでおり、
芸術団体を救済する内容も多少はあります。
ですが、現場の実感としてはまったくと言っても言い過ぎではないくらい、
「救済」になっていない(ならないだろう)というのが正直なところです。
大企業とは違いますから、この業界、内部留保などというものはほぼありません。
つまり直近の公演制作で発生した出費は、
その公演でのチケット収入、グッズ収入、スポンサー収入等で賄うという流れです。
その収入機会が絶たれ、出費だけが残った、
という状態が、業界内大小団体に共通して当てはまることだと思います。
自分たちのギャランティなんて、そもそも二の次です。
それ以外の出費だけでも、僕らくらいの規模の公演でさえ膨大なのです。
その負債があるかぎり、各団体は次の活動ができません。
次の活動自体、いつ再開できるのかもまったく見えていません。
再開までただただ耐え忍ぶ間にも、維持費の大きい芸術団体は倒産し、
小規模な団体で活動する人々は自ら廃業せざるを得ない、
そうした流れが加速するのが目に浮かびます。

「そんな実演団体が全部潰れたって、テレビがあれば娯楽は十分」
と思う人もいるかも知れません。
けれども、実はテレビなどの第一線で活躍している方の多くが、
劇団やバンド、アマチュアのソロ活動を経て活躍されているのです。
テレビがあれば十分という理屈は、瞬間を切り取っただけに過ぎません。
つまり、当たり前のように芸術に囲まれている環境がいつか途絶えるということです。

番組内で鴻上先輩がスティーブン・キングさんの言葉を紹介していました。


「外出自粛を強いられ自宅で過ごす日々、皆は音楽・映画・本に触れずに過ごせるのか」




いま、どの業界からも「補償が絶対に必要だ」という声が日に日に大きくなっています。
補償の話題になると、文化芸術界隈に向けられる声として、「お金がないのはどの業界も同じ、
非常事態の今はエンターテインメントなんて言っていられない、いっそ別の仕事をすればいい」
といったご意見が少なからずあるようです。
ですが、こんな危機になる以前から、
日常的にアルバイトをしながら創作活動、表現活動をしている人はいっぱいいます。
そもそも根源的にお金儲けをしたいのであれば、こんな仕事はやってません。
僕らは自身の生活を守ってほしいが為に支援を要請しているのではなくて、
将来の文化を維持・発展させる流れを守るために要請しているのです。
それには現在のアーティストの活動を守ることが絶対に必要不可欠です。



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▲「収入はゼロ」の男がこちら(笑)
それでも左後方からしっかり岡村孝子さんが見守ってくれています。




今一度。いま人々が自宅で自分の心を励ますことに苦心する日々のなかで、
テレビのバラエティ、音楽、映画、演劇、お笑い、落語、小説、絵画等、
こうしたものに触れたいと思わない人っていますか?
これまでのそれぞれの人生のなかで、
こうしたものから力をもらった覚えのない人っていますか?



僕は思います。衣食住、医療、交通などの生活インフラと同じくらい、
文化芸術は、人間の暮らしにとって必要不可欠なものだと強く思っています。



ですから、どうにかこの危機を乗り越え、
これまで積み重ねてきた活動を途絶えさせることなく、
活動を継続していけるよう頑張ってまいりたいと思います。
(けっきょく今は精神論で終わってしまうのが悔しいところです)

といったようなことも、インタビューではお話させていただきました。



番組制作のTBSの皆さんには大変お世話になりました。
この場をお借りしてお礼を申し上げます。

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『幸せな孤独な薔薇』公演延期のこと [劇作家の時間]

劇団を続けてきて20年、思い出せないくらいいろいろなことがありましたが、
思えば公演初日がとんだり、公演自体が中止になったりしたことは一度もありませんでした。
これも劇団を支えてきてくれたたくさんの人がいるからだとあらためて感じました。
「劇団結成20周年記念公演第一弾」と冠した今公演、
皮肉なことに劇団初の公演延期となってしまいました。
あらためて、公演を楽しみにしてくださっていた皆さま、
日頃より劇団にご声援を送ってくださっている皆さまにお詫びを申し上げます。

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今こうして文章をしたためていても
申し訳なさと悔しさと悲しさと情けなさが込み上げてきます。


創作活動は99%の苦しみと1%のよろこびでできています。
99%の苦しみとは、企画から準備段階を経て、終演後の事務処理に至るまでの
やりがいを伴った多くの格闘であり、
1%のよろこびとは、お客さんからいただく笑顔や拍手に他なりません。
その1%のよろこびさえ、吹き飛びました。
ですが、これもすべて自分で選んだ道を歩む途上で起きた出来事です。
誰の所為でもありません。


公演延期を関係者全員に伝えた4月1日。
雨のなか、いつものようにみんなが稽古場に集まっていました。
飛躍的に魅力度が増した3回目の通し稽古を終えた後、
何からどう話せばよいか分からないまま、みんなの前に立ちました。
このとき、なぜか僕は田嶋ミラノさんの写真が入った額を持っていました。
これまでの全稽古を演出席から見守ってきたミラノさんの写真です。


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「自分の子の首を絞めるのは、こういう気持ちなのか」

そんなような言葉が、いちばん初めに出てきたような、そんな記憶です。
そのあとは何を話したのでしょうか。



演出家とは「みんなを見る」のが大事な仕事で、
だから、いろんな人のいろんな努力を誰よりも感じている自負があります。
俳優の演技のちょっとした変化でさえ、
そこに行くまでに多くの葛藤があったことが想像できます。
スタッフ陣各自の創作作業や事務作業は、分野は違えど、
僕自身の脚本作業でも台詞が一行も進まない日がざらにあることを思えば、
それぞれの孤独な労苦が目の前にはっきりと浮かびます。
そういう時間を重ねてきたみんなを前に、公演延期を告げなければなりませんでした。

悔しさを滲ませ、その気持ちを仲間と共有しながら伝えられる、
僕がそんな人間なら良かったのになあと思うのですが、
こういう時、僕は、心を無にして淡々と言葉を発することしかできない人間で、
それもまたとてもとても淋しく感じました。

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この日の僕が感じられたことは、キャストやスタッフみんなの、
作品や、このチームに対しての無償の愛情と、
自分たちの仕事に対する誇り、それに尽きます。
稽古が始まって1か月、たかだか20回程度の稽古で、
人はここまでひとつになれるのか…と驚くのと同時に、
この奇跡をお客さんのところまでお届けできなかったことが、
ただただ残念でなりません。

たとえ表現者のエゴだと言われようとも、
心穏やかに過ごすこともままならないこの今だからこそ、
万難を排して届けたかった、その気持ちは公演延期を決めた今でも
僕の心にいまだ強く渦巻いています。



そんな自分がいるのなら、大丈夫とも思います。
この公演は中止ではなく飽くまでも延期です。
キャスト・スタッフ全員同じ顔ぶれで、必ず上演することをお約束します。
あらためて上演日程が決定しましたら、ホームページ等でお知らせいたします。
みなさん、ぜひ楽しみに、少し気長に待っていてください。


そして、皆さまくれぐれもせっかくのいのちを大切に。
手洗い、うがい、顔を触らない工夫などしながら、
毎日を楽しく過ごせるよう、助け合ってまいりましょう。


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公演延期を決定した4月1日に撮影したキャスト・スタッフの集合写真。




役者群
眞実
坂本実紅
鈴木研[第27班]
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
奥山静香
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
千田剛士
片山耀将



作    田嶋ミラノ
演出   緑川憲仁
舞台美術 八木橋貴之
照明   森規幸[balance.inc DESIGN]
音響   田上篤志[atSound]
楽曲提供 小松原諒子
ヘアメイク Limo
衣裳   パンダ舎
舞台監督 宮島雄一郎[ステップステージ]

イラスト なかむらしんいちろう
宣伝美術 廣神法子
宣伝写真 渡辺慎一
WEBデザイン 岡下明宏
記録映像 粕谷晃司
舞台写真 宮内敏行
制作   栗原千温[nuclearness合同会社]

浅草九劇
(株)レプロエンタテインメント

伊藤十楽成/市場法子/敷名めぐみ/河野結/榎本悟

協力
NAPPOSUNITED
演劇集団キャラメルボックス
東京ハートブレイカーズ
(株)ALBA
第27班
ECHOES
(有)アールズアーティスト
下町人情キラキラ橘商店街の皆様
(有)ネビュラエクストラサポート
and more

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『幸せな孤独な薔薇』公演延期にともなうチケット払い戻しにつきまして [劇作家の時間]

すでに劇団公式からお知らせいたしております通り、
4月9日から開催を予定しておりました
シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾『幸せな孤独な薔薇』は、
新型コロナウイルス感染拡大の状況とご来場頂くお客様および関係者の
安全性を最優先に考慮し、検討を重ねた結果、延期とさせて頂くこととなりました。
公演を楽しみにお待ちいただいていたお客様には大変残念なこととなり、
またご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありません。
そして急なお知らせとなってしまいましたことを重ねてお詫び申し上げます。
チケットの払い戻しに関しましては、
お買い求めくださった皆様にご案内をお送りしております。
万が一、ご案内がお手元に届いていない方がいらっしゃいましたら、
シアターキューブリックまでご連絡ください。


この度はこのようなことになりまして誠に申し訳ありません。
チケット払い戻しのお手続き等、大変お手数をおかけしてしまいますが、
何卒よろしくお願いいたします。

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シアターキューブリック20周年! [劇作家の時間]

20年前の今日、2000年2月27日にシアターキューブリックは誕生しました。
「じぶんの劇団」という自負のもと、自分の肉体や魂と一体化した感覚で
創作を続けてきましたし、これからもそうだと思いますが、
一方で、現メンバーはもちろん、長く関わってくれているスタッフさん、
かつての劇団メンバー、そしていつも応援してくれているお客さんたちも含めた
「みんなの劇団」という感覚も年々強くなっているのも事実です。

「20周年おめでとうございます」と言われることの多い立場ですが、
逆に、僕もいろいろな方たちに「20周年おめでとう!」と言いたい、
実はそんな気持ちなんです。



今でも時々語り草になっていますが、劇団の母体を持っていなかった僕らは
100名を超える応募者を集めて劇団結成オーディションを行ない、
今はもうなくなってしまったシアターVアカサカという劇場で旗揚げ公演をやりました。
3回目の公演では新宿のシアターモリエール、
4回目の公演では新宿のシアターサンモール、
と、勢いまかせ、勢いオンリーの草創期でした。
何しろ、一本も脚本を書いたことがなく、一度も演出の経験がないまま
劇団を創ってしまったので、「演出家とは何をすべき役割なのか」、
24歳の大バカは、その哲学をまったく持っていませんでした。
稽古場の役者に辛辣な言葉を浴びせることが使命、とさえ思っていた時期もありました。
劇団を創る前、10代の俳優時代も思い出したくない黒歴史ですが、
シアターキューブリック初期の僕も、おぞましい大汚点だと思います。
いま思うと、よく潰れなかったものだと思います。
それだけ仲間やお客さんに恵まれていたのだと思います。


実際、2010年に墨田区へ劇団の本拠地を移し、
「演劇のチカラでまちを遊園地に!」というテーマを掲げてからは、
全国各地域の異業種の皆さんと出会い、世界の広さを知り、
ローカル鉄道演劇や武将隊といった劇場空間にこだわらない活動を通して、
よりいっそうお客さんの存在を強く感じられる機会が増えていきました。


演劇は考え方によってはめんどくさい娯楽です。
わざわざ出かけていかなくちゃいけない、
チケット代もそこそこかかる、
観劇前に作品の情報があまりない、
公演が終わったら二度と観られない。。。


でも、直接会えるんです。

作品や、スタッフや、機会によってはアーティストや、そしてお客さん仲間と。
これって、お客さん側だけが感じる喜びじゃなくて、
作品の作り手である僕らもまったく同じなんです。
20年前のじぶんは、きっとこの喜びに気づいていなかったと思います。

けど、「その時のじぶんにガツンと言ってやりたい!」とは、あまり思いません。
この20年の成功体験、失敗体験があってのこの感覚は、
近道ルートで辿りつける場所とは思わないからです。


シアターキューブリックを20年続けてこられた理由は、
もしかしてこれなのかなって、いま書きながら思いました。
「それまでの自分が知らなかった場所(=境地)へ連れていってくれるもの、、、」
知らない土地を旅する列車のような存在、
それが僕にとってのシアターキューブリックなのかも知れません。


これからも、「じぶんの劇団」、「みんなの劇団」、
この二つの感覚をたいせつに、終点まで楽しい旅を続けていきたいなって思います。

劇団結成20周年おめでとうございます。そしてありがとうございます。




★2020年の公演スケジュール★
シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ 演出 緑川憲仁
2020年4月9日(木)~15日(水)
浅草九劇

キャスト
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅

チケット発売中!


シアターキューブリック結成20周年記念公演第二弾
『葡萄酒いろのミストラル』
作・演出 緑川憲仁
2020年10月21日(水)~25日(日)
恵比寿・エコー劇場

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とうふのかど
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とうふのかど
とうふのかど
とうふのかど
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とうふのかど
とうふのかど
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『Bright』
『フェイス・ザ・ラビリンス』
『オシャマンベ』
『おとうさんのいちばん長いクリスマス』
『葡萄酒いろのミストラル』
『君のヒトミに恋してる』
『宇宙をskipする時間』
『風ときどきポルネ』
『さよなら夏のリセ』
『サンタクロース・ドットコム!』
4FLAGS『Every breath you take』
『葡萄酒いろのミストラル』
『エノデン・スリーナイン』
『プルシアンブルーの瞳』
『タンデム』
体験型演劇「演劇であそぼ!」スタート
『フェイス・ザ・ラビリンス』
『レグルスのガラスの翼』
『誰ガタメノ剣』
ローカル鉄道演劇『銚電スリーナイン』
『ベイクド・マンション』
ローカル鉄道演劇『銚電スリーナイン~さようなら、イワシ号~』
長宗我部供養祭ツアー公演
『誰ガタメノ剣』
『曳舟湯の怪人』
宇喜多秀家フェス『宇喜多秀家物語』
『誰ガタメノ剣』<高知・東京ツアー>
『長宗我部珈琲店』
関ケ原東西武将隊
『島津の疾風』
帰ってきたキューピッドガールズ結成
『葡萄酒いろのミストラル』
『Fire&Fight SUMIDAAA!』
関ケ原東西武将隊『四百年の襷』
『宇宙をskipする時間』
『てのひらに眠るプラネタリウム』
二次元スクリーン劇場『誰ガタメノ剣』『葡萄酒いろのミストラル』
『島津の疾風』<東京・鹿児島ツアー>
箱根海賊船『パイレーツ・オブ・ロワイヤルⅡ』
二次元スクリーン劇場『島津の疾風』
『七人みさき』
ローカル鉄道演劇『樽見鉄道スリーナイン』
『サンタクロース・ドットコム!』
長宗我部フェス・長宗我部まつり公演
ローカル鉄道演劇『ことでんスリーナイン』
ローカル鉄道演劇『ひたちなか海浜鉄道スリーナイン』
ローカル鉄道演劇『ひたちなか海浜鉄道スリーナイン ~spring version~』
北斎美術館 墨に夢プロジェクト
『キラキラ橘ドラ街ック商店街!』
『寺島浴場の怪人』
『☆キラキラ橘☆SHOW店街でショー!』
『キラキラ橘笑店街でござる!』
ローカル鉄道演劇『銚電スリーナイン~Return to the Roots~』
『十二階のカムパネルラ』
二次元スクリーン劇場『葡萄酒いろのミストラル』『十二階のカムパネルラ』
『キラキラ橘☆笑店街でショー!』
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『幸せな孤独な薔薇』明日から発売開始です! [劇作家の時間]

シアターキューブリック20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』のチケット一般前売がいよいよ明日から始まります!


自分のことながら「20年」という時間の長さは、なかなかの重さがありますね。
生まれた赤ちゃんが成人するまでと同じくらいの時間、
仲間たちとひとつの劇団で活動を続けてきたわけですね。
シアターキューブリックでは、旗揚げ以来オリジナルの脚本の上演を重ねてきましたが、
20年目の今年、初めてオリジナルじゃない作品に挑みます。
昨年夏の劇団企画会議で「選択肢無し」で決まったのが、
この『幸せな孤独な薔薇』です。


劇団の旗揚げと同じ2000年、この作品を新宿のシアターアプルの客席で観たとき、
終演後しばらく立ち上がれなくなってしまうくらいに感動したのを、
今でもはっきりと覚えています。「感動」っていう表現、なんだかチープですね…(笑)
「ぼくの進む道はもう演劇しかない!」そう思ってしまった瞬間でした。

それ以来、劇団公演としてでも、そうでなくても、
「いつか必ずこの作品に携わりたい」と
心の引き出しにずっと大事にしまってきました。
そして、その時がついにやってきました。
結成15周年でも、25周年でもない、20周年の今年でした。


しかも、驚くべき役者さんたちが出てくださることになりました。
キャラメルボックスの西川浩幸さん。
西川さんは大先輩の劇団、キャラメルボックスの看板俳優。
正直なところ、緑川が西川さんを演出する日がやってくるなんて、
一秒も思ったことがありませんでした。ほんとうに。
なにしろ高校生の頃から、足繁くサンシャイン劇場に足を運んだり、
キャラメルボックスの上演ビデオを観たり、
今の今でも西川さんは完全に憧れの存在(=ヒーロー)です。
そして、憧れといえばもう一人、ふたたびお世話になる首藤健祐さん。
首藤さんはなんと20年前の『幸せな孤独な薔薇』のキャストでもありました。
ダンディーなのになぜかかわいい首藤さんの虜です、今でも。
演劇ファンの皆さんにとっても、西川浩幸さんと首藤健祐さんが同じ舞台に立つ、
というのは、かなり垂涎の舞台になるのでは!?と思っています。
実は、誰よりも僕が客席で観たい!!と思っていたりもします(笑)

ほかにも6年ぶりにご一緒する第27班の鈴木研くん、
先日の劇団公演でも、絶妙な“ちょい悪”加減に磨きがかかっていました。
『十二階のカムパネルラ』で好演してくれた眞実さんと坂本実紅さん。
この二人の新境地、ぜひ観てみたい!と思えるような、わくわくする役どころです。
眞実さんは、なんとこの作品が初主演。
彼女の真摯さと不器用さが、いかんなくパワーを発揮することと思います。
眞実さんは身長が高い女優さんなのに、小柄なミラノさんが演じた「ルカ」を演じる様子が、
ふわ~っと引き込まれるように想像できたんです。
何か共通する魅力があるのかも知れません。不思議な感じです。
稽古場でそれを探すのが楽しみです。

そんな豪華客演陣をお迎えしての20周年記念公演第一弾です。
あ、一昨年の『銚電スリーナイン』で役者復帰したメンバーの奥山静香は、
かなり久々の劇場公演です、こちらもお楽しみに!!


2月22日(土)の午前10時から発売開始です。
もうすぐ稽古も始まりますので、その様子もお知らせしていきたいと思います。
キャスト・スタッフのみなさんの魅力を合わせながら、
いつもとは一味も二味も違うシアターキューブリックの作品を必ずお届けします。
それでは劇場でお待ちしております!!


以下のURLからは緑川の扱いにてご予約いただけます。
https://ticket.corich.jp/apply/105588/006/


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シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ 演出 緑川憲仁
2020年4月9日(木)~15日(水)
浅草九劇

キャスト
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅

一般前売開始 2月22日(土)10時~

シアターキューブリックホームページはこちら!
http://www.qublic.net/

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次回公演のメインビジュアルできました! [劇作家の時間]

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次回公演『幸せな孤独な薔薇』のメインビジュアル解禁です!

ふだんなら、もっと多彩な色の作品ビジュアルが多いのですが、今回は
シアターキューブリックには珍しい「白い」印象のイラストです。
ほのぼのとしたあたたかいイメージの世界を描く
絵本作家のなかむらしんいちろうさんとは15年近くのお付き合いとなりますが、
また新たななかむらさんの一面を見せていただいた気がします。


今回の物語は「自分自身を見つめる刺すほどのクールさ」が重要な気がして、
表紙の人物の表情や、見え方等々、かなり詳細にお話をしながら進めてまいりました。
そして、今作品は劇団初の外部作家の脚本ということで、
劇団としての新しい挑戦という要素も表現できたらいいなと。

作者の田嶋ミラノさんは、僕が劇団を創ろうとしていた20代前半、
陰に陽に僕を支えてくださった大きな人(とても小柄な方でしたが(笑))。
ミラノさんと自分の名前が並んでいることに、内心とってもびびっています!
そして裏面のキャスト欄には西川浩幸さん、首藤健祐さんという、
僕が演劇を志すきっかけになった作品たちに
必ずといっていいほど出演されていた大先輩の名前も……!

きっとシアターキューブリックのルーツが
劇場空間のそこかしこに充満した作品になるのだろうと、そう思います。
どうぞご期待ください。

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シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ 演出 緑川憲仁
2020年4月9日(木)~15日(水)
浅草九劇

キャスト
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅

一般前売開始 2月22日(土)10時~

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メイクアップ、メイクダウン。 [劇作家の時間]

芸能活動を始めたころの10代、作品づくりを始めたころの20代、
多くの人と同じように僕は「メイクアップ」の願望を持っていました。
飽くまでも、こころのメイクアップの話です。
自分がかくありたいと憧れる人物像を心に留めながら役を演じ、
日常の時間とは離れた非日常をお客さんに楽しんでもらうには、
派手で華やかな演出を…と、人物や空間を「メイクアップ」する考え方。

劇団を立て、自身の作品づくりを始めるようになって数年経った頃、
自分にとっての「メイクアップ」思考の目的が何なのかが分かってきました。
自分はなぜファンタジーの仕掛けを盛り込むのか、なぜ賑やかな演出を好むのか。
それは、物語に登場する人間だれもが持つ「非社交的」で「内なるもの」を
効果的に浮き立たせるための、ある種のバランス維持が目的なんだと。


一般的に、派手な演出が施されたファンタジー作品には、
必要以上にリアルで繊細な心理描写がされている人物はあまり登場しません。
ストーリーを楽しむには逆に足かせになってしまうからでしょうか。
ですが、シアターキューブリックのファンタジーの場合、
ファンタジーを選択している理由自体が「人の内なるものを見せるため」なので、
結果、あまり他では見ないテイストの作品になるのかも知れません。

劇団メンバーや出演する俳優に求めることも、
当然ながら「人が隠す感情」の部分へと行き着きます。

つまり「メイクダウン」の方向性。



人には見せない、見せたくない人間性。
外見やせりふ回しをそのようにすればよい、という表面的なことではなく、
俳優が自分自身の「内なるもの」に向き合わねば、けっして出てこない表現。
あるいは、それは「表現」という範疇を超えて、「表現しない演技」になるのかも知れません。

30代、40代とさまざまな時間を生きてきて、
僕自身にも「(自覚し得る)内なるもの」が増えてきました。
自然と同年代の俳優にはそれを求めるようになるのですが、
(無自覚的に)「メイクダウン」を嫌う俳優がいることも事実です。
「そんなみっともない自分をお客さんに見せたくない」という感情。
きっと「みっともない=魅力的じゃない」という気持ちなのでしょう。
厄介なのは、そうした気持ちを無自覚的に持っている場合、
その人自身は「自分はどんな役でもやります!」と思っているということ。

演出家として、今後僕の課題になることは、
無自覚的にメイクダウンを拒絶しているようなタイプの俳優に対して、
人間だれもが持つみっともない部分も含め、
いかに人間が魅力的かということを共有する言語を持てるかどうか。


劇団結成20周年記念公演の2作品に向けて具体的な準備を進めるかたわら、
作家として、こうした自分の核を再確認する時間も大切と感じたりしながら、
田嶋ミラノさんが遺してくれた『幸せな孤独な薔薇』の脚本を読んでいます。

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シアターキューブリックの公演予定
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ 演出 緑川憲仁
2020年4月9日(木)~15日(水)
浅草九劇

キャスト
片山耀将 奥山静香 千田剛士
西川浩幸[演劇集団キャラメルボックス]
首藤健祐[東京ハートブレイカーズ]
鈴木研[第27班] 眞実 坂本実紅


『葡萄酒いろのミストラル』
作・演出 緑川憲仁
2020年10月21日(水)~25日(日)
恵比寿・エコー劇場

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『十二階のカムパネルラ』終演。 [劇作家の時間]

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おそらく僕は、我が宇宙をゆく銀河鉄道に一人乗っていて、
必死にいま、『十二階のカムパネルラ』という駅を振り返って、
次第に小さくなってゆくその場所を、窓にへばりついて目に焼きつけようとしているのでしょうか。


この記事を書いてしまうと、いよいよお別れの汽笛が鳴ってしまいそうなのですが、
この公演をご覧下さった皆さん、支えて下さった皆さんへしっかりとお礼を述べたいので、
少し長めになってしまうかも知れませんが、お付き合いください。



この作品はきっと2014年の冬から始まっています。
『サンタクロース・ドットコム!』が終わった後、その公演にも出演してくれた高橋茉琴と、
「『葡萄酒いろのミストラル』に続く、賢治さんのお話を書きたいんだ」という話をして、
「その時には高瀬露役をやってほしい」ということを高橋に伝えた気がします。
まさかその時には高瀬露さんが主人公のお話になるとは思っていませんでしたが、
少なくとも僕の頭の中では、この作品はその時から始まっていました。

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その後、浅草に素敵な劇場が建ち、そこが浅草十二階跡の至近距離であることを知り、
頭の中で「浅草十二階」「大正浪漫」「宮沢賢治さん」……「高瀬露さん」という式が
次第に浮かび上がってきました。
となると、劇場を押さえる前に、「高瀬露を確保せねば!!」ということで(笑)、
高橋茉琴に即オファー。彼女も2014年冬に交わしたやりとりを
はっきりと覚えていてくれて、無事快諾をいただきました。


年が明けて情報解禁した後、浅草十二階の遺構が発掘されたことがニュースになり、
その現場が浅草九劇から数十歩の位置であることが分かって鳥肌が立ちました。
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同じころ、出演者オーディションを開催。
劇団メンバーを除く今回の俳優陣のほとんどは、そこで出会った人たち。
このオーディションですでに「この面々で集まれば、そのまま公演を打てるんじゃない??」
という感触があったのをはっきりと覚えています。
初対面で、オーディションという場でありながら、とても柔らかな空気に包まれていました。

そこからしばらくは、孤独な戦いが始まります。「脚本執筆」です。
モチーフやキーワードを決めて、タイトルを決めて、出演者が決まって、
だからといって脚本全体がパッパと組み上がるわけもなく、
まるで暗闇の泥田をゆくような春、夏、秋でした。




5月には岩手の花巻へ。
作品の芽が果たして自分のどこにあるのか、ひたすらそれを探す旅。


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あとで写真を見ると、爽やかな初夏の青空の花巻でしたが、
五里霧中の僕にとっては、賢治作品のようにどんより曇りがちな印象の旅でした。
そのころ劇団では、目前に迫ったイベントに皆全力投球で、
一人違うことをしている僕が、とても孤立して感じられ、胸が裂けそうな時期もありました。
今思えば、僕自身のそうした心の叫びが、この作品に繋がっていった気もします。



6月には、ラストシーンの「絵」だけが浮かびました。

「悲しみに覆われた今の僕のような、そんな人のもとにも、サンタクロースがやってくる。」
そんな歌があったじゃないか。
岡村孝子さんのクリスマスソング、『世界中メリークリスマス』です。


もう、すぐに岡村孝子さんにお伺いを立てました。


こういう時の行動力は自分でも驚きます。さそり座の人物の特徴でよく書かれます(笑)
岡村孝子さんといえば、押しも押されぬ大シンガーソングライター。
正直どうかなあと思っていましたが、こちらも即楽曲提供のご快諾をいただきました。
これで、ようやく物語の終点が定まってきました。
あとはこの終点に向かって、どのような物語を紡ぐのか。
かなり進んだ実感がありつつも、まだまだ壮大過ぎる課題が残っていました。


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岡村孝子さんにも、多大なるご協力をいただきました。ありがとうございました。



7月はローカル鉄道演劇『銚電スリーナイン』の公演があり、
気付いた時には、真夏にワープしていました。愕然。
ぎんぎら陽射しが照りつける日々、『世界中メリークリスマス』をヘビーローテーション。
僕の毛穴からこの曲が聴こえてきそうなくらいにずっと聴いていました。

「どうすれば、この物語の終点で舞台と客席がひとつになれるか」。

そればかり考えました。




公演稽古の足音が近づいてきた頃、パンフレット写真の撮影がありました。

僕は相変わらず、暗闇の泥田を歩んでいて、きっと浮かない顔をしていたと思います。
そんなどうしようもない僕の前に、、その人は舞い降りてきました。


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高瀬露さんが現世に舞い降りてきたような瞬間。

見た目は高橋茉琴かも知れませんが、でも、僕のこころには、
高瀬露さんが静かに僕を励ますために、
周りに気づかれぬよう、そっと舞い降りてきた、
そんなふうに感じた瞬間の写真です。
その日から、毎晩脚本に向き合う前には必ず、
岡村孝子さんの曲を数回聴き、この写真を見て、自分と戦い続けました。
会いたい、会いたい、辿り着きたい、会いたい、
ぬかるんだ泥田を進むには、ひたすらそれを思うしかありません。
その苦しみ、悲しみ、もしかするとそういった気持ちが、
そのまま脚本に焼きついてしまったかも知れません。
書いたシーンを読み返すと、ひゅうひゅうと秋風のような淋しさを感じました。




10月、公演稽古が始まりました。
ここからは、ひなたのような毎日です。

本来なら脚本作業と稽古の同時進行の過酷な日々のはずなのですが、
14人の俳優陣が醸し出す空気が、あまりにも、あまりにもあたたかくて、
物語の後半の執筆作業は、彼らのオーラに導かれて進んでいった気がします。
絵本作家なかむらしんいちろうさんによる、ものすごいイラストのリーフレットも完成、
このイラストをもとにした舞台美術の打ち合わせもずんずんと進んでいきました。
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ダンサー森川次朗さんとの4年ぶりコラボのダンスシーンも、
僕の心を大いに奮い立たせてくれる壮大な場面として出来上がってきて、
さらにはパンフレット撮影のカメラマン渡辺慎一さんによる写真も出来上がってきて、
作業の合い間に大好きな俳優陣の顔を毎夜しげしげと見ながら、
こうして、僕はいっぱいの宝物たちに「がんばれ、がんばれ」と言われながら、
脚本の後半、終盤を24時間テレビのランナーのように走っていきました。

次朗さん同様、4年ぶりにご一緒する舞台スタッフ陣の
キューブリックの勝手知ったる百戦錬磨のワークには、
演出家の僕はもはや、にやけるしかありませんでしたよ。
僕はただただ圧倒的な舞台美術と大音響と光の世界に励まされていました。

そして、お客さんに対するおもてなしという劇団の最前線を担ってくれた、
奥山静香と、彼女を強力に支えてくれた栗原さん、酒井さんにはとにかく脱帽です。
グッズ製作では、エキスパートの穂苅さんに今回もお世話になりました、
お客さんがお芝居を安心して堪能するには、
ロビーや舞台裏のスタッフのみんなの優しさがなければ、絶対に有り得ないことなのです。


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劇団メンバーの片山耀将、谷口礼子、千田剛士、榎本悟。
家屋が家屋として存在するために必要な柱や梁があるように、
各自の課題を盛り込みながら、柱や梁の役目を担ってもらいました。
初出演の客演さんを含めて、14人のキャストが輝くことができたのは、
劇団メンバーのこの4人が活きたからだと思っています。
今回裏方にまわってくれたメンバーも含め、
あらためて、かけがえのないキューブリック俳優陣の存在の大きさを感じました。


「電信柱のような男」を演じてくれた千葉太陽くん。
ずっとキューブリックに出たいと言ってくれていたので、
賢治さんの世界観が一番色濃く反映されている役をお願いしたいな、と考えました。
「電信柱のように」なってもらうため、大変な仕掛けが施されることになってしまい、
稽古から本番まで、本当にご苦労されたと思いますが、
見事に賢治さんの世界から飛び出してきてくれました。

賢治さんの作品の世界といえば、童話「双子の星」に登場する、
「チュンセ童子」と「ポウセ童子」を演じてくれた20歳コンビ。
金田理佐子ちゃんも藤井優海ちゃんも、20歳とは思えないほど、
視界が広く、人のことが大好きで、この先どんな道を進むにしても、
きっと周りを引き立て、周りに愛される人になるに違いないと思います。
けど、どんな女優さんに成長してゆくのかをやっぱり見届けたいです。
金田さんの身体能力、藤井さんの幸福ふりまくオーラは、ほんとうに稀有ですから。



なにしろ、物語の本線が主人公の苦しみ、切なさ、悲しさ。
その本線と一線を画す「陽」の存在が非常に重要で、
映画の撮影現場の人々には、そういう役割を担ってもらいました。
「南部監督」を演じてくれた佐藤沙予さん。
佐藤さんには、撮影現場の太陽のような存在になってもらいました。
佐藤さん自身、お日さまのような優しさが滲む人。
これから先、もっともっと、その魅力が増していくのだと思います。

賢治の最大の理解者・藤原嘉藤治を演じる俳優「前沢」役の今氏瑛太くん。
気付けば、嘉藤治さんのような包容力でカムパネルラチームの
ムードメーカーになってくれていました。
全方位にアンテナを張りつづける今氏くんの思いやりは、
しっかりと舞台に乗り、作品の優しさに繋がっていたと思います。

きりの後輩女優「ありす」を演じてくれた坂本実紅ちゃん。
書いている時はそのつもりはありませんでしたが、
おそらく、この役は当て書きだったのだろうと思います。
一見きゃぴきゃぴしているけれど、本当はとても冷静に周りを見ていて、
自分自身の役割を常に分析している女の子。
きっと、こういう女の子は多いんだろうと思います。
年上の世代からはいろんなことを言われるけど、みんな本当はとても真面目。
けど、周りと調和するためにその真面目を奥にしまい込む。
坂本さんを見ていると、その奥ゆかしさを感じます。
だから、「ありす」が生まれた気がします。
一日一日、目まぐるしく変化し続けてゆく女優さん、目が離せません。

「ありす」と同じアンサンブルで、撮影現場の外野手として、
空間を盛り上げ続けてくれたマネージャー「宮守」役の鳥居きららさん。
本人の冷静さと演技のスパーク加減のギャップは病みつきになります。
稽古終盤からは、良くも悪くも演出の僕までもがファンになってしまいました。
シアターキューブリックが大切にしている、演劇における「音楽性」を、
見事なまでにリズミカルかつメロディアスに体現してくれました。

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4年ぶりに出てくれた「あおい」役の眞実ちゃん。
長いブランクがあったとはとても思えない、彼女の魂に触れることができました。
あおいの姿を借り、高瀬露を現代の世界へと導いた「大畠ヤス」さんの心情を、
深く深く見つめて、本番直前まで台本の活字の奥を、
穴が開くんじゃないかってくらいに覗き込んでいました。
実は、悩み続ける彼女のその姿が、とても美しかったんです。
そして、その美しさは、しっかりと舞台上の「ヤス」さんとして輝いてくれました。
この役をお願いして、本当によかったと思っています。
これからの飛躍が楽しみで仕方ありません。

高瀬露を演じる女優「小岩井きり」を演じてくれた品川ともみちゃん。
この人の笑顔は、本当にやわらかくて、
僕は冷静にダメ出しをしているのに、
こちらの目の奥を覗き込むようにしながら、にこにこと真摯に聴いているのです。
なんという柔らかな空気を纏っているんでしょう。笑いそうになります。
その柔らかな空気をもっと強大な武器にしてほしいと思い、
初タッグながら僕は格闘しました。品川さんも戦いつづけました。
僕はまた必ず戦いを挑むと思います。
あの柔らかな魅力は忘れられません。
この魅力は、今よりももっともっと武器になるはずですから。


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最後に。
主人公の高瀬露役を演じ尽くしてくれた高橋茉琴。

「宇宙探査機はやぶさが真っ赤な火だるまになって地球に戻ってきた…」、
僕は、なぜかその光景を思いながら、舞台上で燃え続ける高橋を見ていました。

もはや、何を書いたらよいのか見当がつきません。
高橋がいなければ、この作品は始まっていませんし、
僕が脚本を生み出して苦悶している最中も、
要所要所で猫みたいに、こちらの様子をさりげなく見ていて、
そうした眼差しを感じながら出来上がった高瀬露の物語だから、
彼女は燃え尽きるまで舞台上で生き切ってくれたのだと思います。

性別も違うし、年齢も近くはないし、交流だって大したことはないけれど、
どうしてここまで通じ合えるのか、相変わらず謎過ぎる存在です。

僕が劇作家人生の集大成のつもりで書き上げた物語を、
「これまでの役者人生の集大成」と綴ってくれた高橋の文字を見たときの
胸に込み上げてきた苦しさを、僕はきっと一生忘れません。



随分とだらだらと綴ってしまいましたが、これでもまったく語れていません。
それくらいにいろいろなことがありすぎたチームでした。

僕の目には見えないチカラもたくさんたくさん感じました。
とてもあたたかなパワーを感じました。守られていると感じました。
だから最後までこの応援に応えないといけないと思いました。
仲間もきっと同じように思っていたと思います。


ここまで綴ってきた文章を、いったいどのように締めくくればよいのか、
まだちょっとよく分かりません。

近いうちに、もう一度花巻へ行って、
賢治さんや露さんに、この公演のお話をしに行こうと思っています。
その時には、きっとその先の道が見えてきそうな気がします。


そして。

今公演のメインテーマ曲『世界中メリークリスマス』の一節、

「たったひとつだけ、願い叶う。サンタクロースがやって来る。」


これはほんとうなんだとおもいました。



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みなさん、ほんとうにありがとうございました。



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長いたび [劇作家の時間]

1年前、この作品がこれっぽっちのカケラもなかった頃、
まずはとにかく死ぬ気で公演タイトルを振り絞り、
浅草九劇で『十二階のカムパネルラ』という作品を上演することを決め、
その後、春ごろになっても「宮沢賢治」と「浅草十二階」というキーワード以外、
いまだ概要も何も定まっていなくて、
不安な気持ちいっぱいで岩手県の花巻へ飛んでいきました。
4日間、ほんと馬鹿みたいに花巻じゅうをまわって、
この土地の空気を細胞に染み込ませました。
だからといって、すぐに構想の詳細が組み上がるわけでもなく、
7月の公演を乗り切りつつ、闇の中を独り歩く日々が続きました。
前回公演が終わると、すでにこの公演の稽古はすでに目前に迫っていて、
僕の今年の夏は、いま思うとほとんど記憶がありません。


今回の物語は、宮沢賢治さんとゆかりの深い
高瀬露(たかせつゆ)さんを主人公にさせてもらいました。
この方は昭和45年までご存命だった実在の女性で、
そのような方を描くわけですから、ファンタジーの物語とはいえ、
勝手気ままに書くなど許されることではありません。
その責任が僕の心にずっしりと乗ってきて、
正直今回ばかりは「ダメだ」という思いが日に日に大きくなり、
自分が今年の年末に存在しているイメージがまったくできなくなっていました。



そんな1年を過ごしてきて、今、こうして仲間とともに稽古最終日を迎えたことを、
ちょっと信じられないような、そんな思いに包まれています。


脚本と戦っている時、僕はただただ孤立感のさなかに追い込まれていましたが、
気付けば、仲間たちやあるいは見えない何かに導かれていた日々でした。
今回の脚本には、自分自身が書いた記憶がないくだりが登場します。
それから僕が眠っている時に夢のなかでもらった台詞もあります。


そんなふうにして生まれた物語を、俳優陣・スタッフ陣が心から愛してくれました。
10月1日の稽古初日から不思議なしなやかさを纏った稽古場で、
みんなの慈愛に包まれながら、まるでいきもののような作品に成長しました。
もはや自分が書いた作品、という実感さえありません。
むしろ僕自身がお客さんに近い感覚でこの公演の本番を楽しみにしている、
今はそんな気持ちでいます。


とにかく、役者たちですよ。

シアターキューブリックの舞台は、音楽も照明もダンスも衣裳も力を入れていますが、
やっぱり舞台の魅力は役者たちなんですよね。
14人の役者たちが、宮沢賢治さんも求め続けた「ほんとうのしあわせ」について、
呆れるくらいに追い求め、舞台上で輝いています。
その姿をこそ、とにかく感じてほしいです。

一週間後には銀河の彼方へ消えてしまうこの作品。
どうか、あなたの目で見届けてください。
かつて浅草十二階が建っていた目と鼻の先、浅草九劇にてお待ちしています。

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誇れる14名の役者群。僕の自慢。


********公演情報********
シアターキューブリック 2018クリスマス公演
『十二階のカムパネルラ』
作・演出 緑川憲仁
♪メインテーマ 岡村孝子「世界中メリークリスマス」

2018年11月21日(水)~25日(日)

会場 浅草九劇

宮沢賢治の代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』は、
もう二度と会えない友、カムパネルラをめぐる心の冒険物語。
もしも、そのカムパネルラが賢治だったとしたら......。
大正から昭和にかけての賢治の故郷・花巻と、
浅草十二階と呼ばれた巨塔そびえる浅草を舞台に繰り広げられる、
大正浪漫躍るクリスマスファンタジー。
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役者群
高橋茉琴 片山耀将 谷口礼子 千田剛士 榎本悟
眞実 今氏瑛太 金田理佐子 坂本実紅 佐藤沙予
品川ともみ 千葉太陽 鳥居きらら 藤井優海

上演時刻
21日(水)19:30 完売間近!!
22日(木)19:30 お急ぎください!
23日(祝)14:00 完売間近!!
      19:00 お急ぎください!
24日(土)14:00 完売間近!!
      19:00 お席あります!!
25日(日)13:00 お急ぎください!
      17:00 完売間近!!

※開場は開演の30分前です。

観覧料
4,500円(税込・全席指定)
当日 4,800円
学生(大学・専門学校生以下) 2,500円 ※要学生証
※未就学児の観劇はできません。



会場
浅草九劇 <東京都台東区浅草2-16-2 2階>

つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩3分
東京メトロ銀座線、東武スカイツリーライン「浅草駅」徒歩10分
東京メトロ銀座線「田原町駅」徒歩10分
都営浅草線「浅草駅」徒歩13分

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