公演チラシ束の配布にまつわること [社長の時間]
新型コロナウイルスの位置づけがインフルエンザ等と同じ5類へ移行することが決まり、
「コロナ後」の世界がまた少し近づいてきた感じがしますね。
どの業界の皆さんも本当に頑張られていると思います。
それでも演劇などのエンターテインメント業界は
ずいぶんとその後ろのほうを、七転八倒し続けている感が否めません。
業界に対して出される政府のガイドラインも社会状況に合わせて更新を重ね、
感染防止対策を行なうことは前提のうえではありますが、
かなりコロナ前に近い環境で興行を開催できるところまで来ています。
ただ肝心の観客が劇場に戻っていないのです。
3年前、完全に劇場が閉じられた期間がありました。
その後、かなり細々としたかたちで再開されたものの、
エンターテインメントという雰囲気には程遠い厳戒態勢の再出発でした。
その間、娯楽は自宅や個々の空間で楽しめるものが普及し、
映像の分野は大きくその市場を拡げ、かつ技術も成長しました。
劇場での舞台鑑賞が好きだった人たちも
映像鑑賞で代替できてしまうようになったケースも少なくないはずです。
旅を自宅で体験できないのと同じように、
家を出て現場に行かなければ体験できないのが舞台です。
しかし作品のストーリーをなぞれることで
舞台作品を観た気になれてしまう現状があります。
そもそも映像と舞台はまったく別なのです。
僕たちはこのことをあらためて広く知らせていかねばなりません。
これは一団体、一企業だけでできることではありません。
そこに携わる様々なセクションの人たちが団結して初めて、
ようやく舞台の魅力を忘れつつある人たちまで届くかも知れない、届かないかも知れない、
それくらい重大な状況にあると、各地の劇場で多くの空席を見る度に感じます。
僕が代表を務めるネビュラエンタープライズは、
おもに首都圏の演劇・ダンス公演の劇場で配られる公演チラシ束を作成しています。
このチラシ束、コロナ前はロビーの入口で公演スタッフの方々が
来場するお客さんに直接手渡しすることが通常でした。
しかし、コロナ禍下(特に2020~21頃)に接触感染の可能性の有無が議論される流れで、
配布方法は完全に「ロビー置き」になることが余儀なくされました。
ロビーの隅に置かれたテーブルにチラシ束を積むやりかたです。
この結果、【一公演あたりの配布力は従来比35~50%】となりました。
手渡し:フルキャパ比約70~80%の配布部数
ロビー置き:フルキャパ比約30%の配布部数
その後、接触感染の可能性はほぼないとされ、制限も緩和されたものの、
手渡しの方法に戻る公演はまだ限定的で、
風評被害の恐れや、感染予防対策に割かれる人手等の現場の課題のために、
観劇の前後という、ファンの皆さんに情報を届ける絶好の機会の宣伝力が、
いま現在も低迷したままになっています。
多くの劇場で空席が目立つ一因は、このことにもあると考えています。
興行を行なう公演団体にとっては、そこでのチラシ束の配布方法が、
その公演の動員の伸びに直接影響を与えるものではないため、
人手があまりかからず、風評の恐れもない
「ロビー置き」を選択することは合理的な判断だと思いますが、
一人でも多くの演劇ファンを掘り起こし、
かつてのファンたちにまた劇場へ足を運んでもらう流れを作るには、
業界挙げて、他団体の公演宣伝にも互いに注力することが大事で、
この循環が、ひいては次回以降の自身の興行にも良い影響を与えるはずです。
長年、多くの団体のご協力を得ながら、
相互扶助の観点でチラシ宣伝のインフラを務めてきた立場で見えることを書いてみました。
低迷を続ける舞台業界の突破口を、小さくても良いから一つでも多く作っていきたい、
そして閉塞感が充満する社会に対して、エンターテインメントの力で貢献したい、
これからもその一心で、微力を尽くしていきます。
ラーメン激戦区が盛り上がるのは、きっと自分の店だけじゃなく、
他店とともにみんなで盛り上がっていこうという想いがあるからだろう、
そんなふうに思います。
「コロナ後」の世界がまた少し近づいてきた感じがしますね。
どの業界の皆さんも本当に頑張られていると思います。
それでも演劇などのエンターテインメント業界は
ずいぶんとその後ろのほうを、七転八倒し続けている感が否めません。
業界に対して出される政府のガイドラインも社会状況に合わせて更新を重ね、
感染防止対策を行なうことは前提のうえではありますが、
かなりコロナ前に近い環境で興行を開催できるところまで来ています。
ただ肝心の観客が劇場に戻っていないのです。
3年前、完全に劇場が閉じられた期間がありました。
その後、かなり細々としたかたちで再開されたものの、
エンターテインメントという雰囲気には程遠い厳戒態勢の再出発でした。
その間、娯楽は自宅や個々の空間で楽しめるものが普及し、
映像の分野は大きくその市場を拡げ、かつ技術も成長しました。
劇場での舞台鑑賞が好きだった人たちも
映像鑑賞で代替できてしまうようになったケースも少なくないはずです。
旅を自宅で体験できないのと同じように、
家を出て現場に行かなければ体験できないのが舞台です。
しかし作品のストーリーをなぞれることで
舞台作品を観た気になれてしまう現状があります。
そもそも映像と舞台はまったく別なのです。
僕たちはこのことをあらためて広く知らせていかねばなりません。
これは一団体、一企業だけでできることではありません。
そこに携わる様々なセクションの人たちが団結して初めて、
ようやく舞台の魅力を忘れつつある人たちまで届くかも知れない、届かないかも知れない、
それくらい重大な状況にあると、各地の劇場で多くの空席を見る度に感じます。
僕が代表を務めるネビュラエンタープライズは、
おもに首都圏の演劇・ダンス公演の劇場で配られる公演チラシ束を作成しています。
このチラシ束、コロナ前はロビーの入口で公演スタッフの方々が
来場するお客さんに直接手渡しすることが通常でした。
しかし、コロナ禍下(特に2020~21頃)に接触感染の可能性の有無が議論される流れで、
配布方法は完全に「ロビー置き」になることが余儀なくされました。
ロビーの隅に置かれたテーブルにチラシ束を積むやりかたです。
この結果、【一公演あたりの配布力は従来比35~50%】となりました。
手渡し:フルキャパ比約70~80%の配布部数
ロビー置き:フルキャパ比約30%の配布部数
その後、接触感染の可能性はほぼないとされ、制限も緩和されたものの、
手渡しの方法に戻る公演はまだ限定的で、
風評被害の恐れや、感染予防対策に割かれる人手等の現場の課題のために、
観劇の前後という、ファンの皆さんに情報を届ける絶好の機会の宣伝力が、
いま現在も低迷したままになっています。
多くの劇場で空席が目立つ一因は、このことにもあると考えています。
興行を行なう公演団体にとっては、そこでのチラシ束の配布方法が、
その公演の動員の伸びに直接影響を与えるものではないため、
人手があまりかからず、風評の恐れもない
「ロビー置き」を選択することは合理的な判断だと思いますが、
一人でも多くの演劇ファンを掘り起こし、
かつてのファンたちにまた劇場へ足を運んでもらう流れを作るには、
業界挙げて、他団体の公演宣伝にも互いに注力することが大事で、
この循環が、ひいては次回以降の自身の興行にも良い影響を与えるはずです。
長年、多くの団体のご協力を得ながら、
相互扶助の観点でチラシ宣伝のインフラを務めてきた立場で見えることを書いてみました。
低迷を続ける舞台業界の突破口を、小さくても良いから一つでも多く作っていきたい、
そして閉塞感が充満する社会に対して、エンターテインメントの力で貢献したい、
これからもその一心で、微力を尽くしていきます。
ラーメン激戦区が盛り上がるのは、きっと自分の店だけじゃなく、
他店とともにみんなで盛り上がっていこうという想いがあるからだろう、
そんなふうに思います。
2023-01-27 12:38
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