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一輪挿しの水を入れ替える~岡村孝子さんのクリスマスピクニック~ [日々雑録]

『ミストラル~季節風~』や『世界中メリークリスマス』など、
自身の舞台作品でもメインテーマとして楽曲をお借りしている
シンガーソングライターの岡村孝子さん。
少年時代から僕の人生を支え、むしろこの方によって人生が拓かれたともいえる
岡村孝子さんの4年ぶりのクリスマスコンサートへ。


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3年前に見つかった病気との闘いのために、
一時は音楽活動も休まれていた時期もありましたが、
とても大切にされているコンサートも行えるようになったのは昨年の9月。
完全復活されたのかどうかはご本人でないと分かりませんが、
不思議なことに姿も歌声も、大病を患う前よりも元気な感じで、
生命力、想いの強さ、目に見えない不思議なチカラを感じざるを得ません。




コンサートの幕が開き、逆に僕のほうがこれまでになく心が疲れていることに気づき、
2時間30分にわたる手術のような時間が始まりました。


コロナウイルス禍によって続く舞台業界の大不況と会社経営の苦境。
心が疲れている理由は自分でもはっきりと分かります。
知らないあいだに僕の心は疲れと不安に蝕まれ、体は委縮し、
血も澱みきっていたのだと思います。
この僕の細胞は岡村孝子さんの言葉と旋律でかたちづくられているのですが、
この1~2年はそのようなこともすっかり忘れ、
孤独ではないにもかかわらず、自ら孤立し、
ここに書くことも憚られるような、良くないことも考えるほどでした。


岡村孝子さんも確実に変化し、老いていく一人のひとですが、
この方の場合、生きものと思えないくらいの「不変」があります。


「まっすぐに生きている」という不変。


少年だった僕を惹きつけ、今も堅く離さないチカラはここにあります。

人ですから、当然、苦悩や低迷はあるはずです。
もともと力強いのではなく、自分との格闘の末に掴み取った強さ。
もしかすると、自分にもできるのではないかと思わせてくれる希望。
岡村孝子さんに感じる希望は、それです。






最近知人から思いがけない言葉をもらいました。


「岡村孝子さんは緑川にとってゴールデンシャドウ」。


ほんとうにそうなんだと思います。
自分の人生もかくありたい、そう思い続けてきた半生。

そんなありがたい存在も忘れ、周りで支えてくれる人たちにも頼れず、
一人で苦しんでいる自分を、予期せずに突き付けられたのでした。
岡村孝子さんの歌がまるで説教(説法)のように思われました。




優しさや幸せは、自分が思っているよりもたくさん自分の周りにあります。
難しいのは、それに気づける自分でいられるかどうか。
30年間、岡村孝子さんが僕に問いかけ続けてくれているのは、
そういうことなのかなと。
そして、僕もそういう自分で在り続けるために、
この人のように優しさや幸せな気持ちをたくさんの人に届けるために
物語を創り、会社を束ねようとしているのだろうと。




仮に僕が一輪の何かの花だとしたら、
一輪挿しの水を入れ替えてもらったような、
自分の中の水が透きとおった水に替わったような、
そんな感覚を覚えながら渋谷の公園通りを下ったのでした。


そして僕だけではなく、たくさんの方たちがそれぞれ貴重な何かを得たり、気づいたり……。
岡村孝子さんにはいつまでもそういう大切な瞬間を創る存在であり続けてほしいと、あらためて強く思いました。

病気を克服し、戻ってきてくれてありがとうございました。


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