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岡村孝子さんの「まちの音楽会」へ。~ブレや揺らぎから感じること~ [日々雑録]

かれこれ20年以上、劇作家という仕事をしていますが、
脚本執筆、舞台演出という一見派手に思える超地味な作業を続けるなかで、
不安なとき、創作に迷ってしまったとき、
自分自身が立ち返れる「みちしるべ」のようなものが必要になったりします。
僕の場合、それは岡村孝子さんの言葉と音楽。


シンガーソングライターの岡村孝子さん。
かつては「OLの教祖」と呼ばれ、今では逆に男性ファンも多い岡村さんですが、
14歳の時から岡村さんの音楽に導かれて生きてきた僕にとっては、
親や学校の先生では教えてくれない、人生の苦悩や生きるということのヒントを、
体育館の裏でこっそりと教えてくれるような、お姉さんみたいな存在。
そんなお姉さんみたいな岡村孝子さんのコンサートに出かけてきました。



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今回は岡村さん単独のコンサートではなく、
フォークシンガー三浦和人さんとのコラボレーション。
宝くじの社会貢献事業の一環として行われている音楽会で、
そのため、チケット代がたったの2000円という、
宝くじを買う習慣のない僕にとっては大変申し訳ないお値段でした( ;∀;)

三浦和人さんは長くラジオパーソナリティを務められてきたこともあって、
おしゃべりがとても楽しくて、
叙情的な歌とのギャップがすごく魅力的な方でした。
岡村孝子さんとは相当久しぶりの再会だったようですが、
二人の息もぴったりで軽妙な会話も楽しめる素晴らしいコンサートでした。




岡村孝子さんはコンサートのなかでいつもお客さんに質問をします。
「私、岡村孝子のコンサートにちょくちょく来てるよ、という人」
「今回初めて来ました、という人」
その質問に、お客さんは拍手で返します。

すると相当数の方が「ちょくちょく来てる」という返事を拍手で返します。
僕も含め、かなりの数の方が繰り返し足を運んでいるんだなあ、
ということを実感します。



41年も音楽活動を続けている岡村孝子さん、
これまでに作った楽曲は何百にものぼりますが、
コンサートで歌う曲はわりと決まっています。
もっともっといろんな曲を聴いてみたいなあ、と思わなくもないですが、
同じ曲でも、同じにはなりません。それがライブのライブたる所以です。

曲の歌詞やメロディは同じでも、
それを歌う岡村孝子さんは人間で、
それを聴くお客さんも人間なので、
必ずそれぞれの人生を更新しながら、その曲と「再会」します。

そして、歌手はロボットではありませんから、
歌声には必ずブレや揺らぎがあります。
そのブレや揺らぎを好まないお客さんもいるかも知れませんが、
僕は、その日ごとに違う岡村さんのブレや揺らぎをこそ感じたい、と
劇場へ足を運んでいるように思います。


僕が仕事としている舞台公演もきっと同じです。
物語を伝えることももちろん大切なことですが、
僕は物語を通じて、人間のパワーを共有したい、
そのためにはキャストそれぞれの人間としての息づかいを
お客さんに感じてほしい、と思いながら創作を続けてきました。
作品(役柄やセリフ)は飽くまで道具のひとつなのだと。


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岡村孝子さんの曲には、
「互いに同じ時代を生きている」という意味のフレーズがいくつかの曲に登場しますが、
まさしく、ライブでの岡村孝子さんのブレや揺らぎには、
これを感じられる喜びがあります。
それは歌を歌うどの人にもあるものではなく、
相手のこと、仲間のこと、ファンのこと、音楽のことを強く思う岡村孝子さんの心があって、
その結果、ブレや揺らぎの瞬間にその思いが木漏れ日の光線のように不意に出てくるのだろうと。


思い出すのは、かつて岡村孝子さんの楽屋にご挨拶させていただいた時、
挨拶を済ませ帰る僕を、通路の角を曲がるまで見送ってくださったこと。
その時は恐縮と戸惑いだけでしたが、後から音楽を聴きながらそのことを思い出すと、
「そりゃ、やっぱりそういう人だよね」という納得感いっぱいの素敵な思い出。

つまり、ライブエンターテインメントは、
作品を観に行くようでいて、音楽を聴きにいくようでいて、
本質は、演者の「こころ」を感じに行くのだろうと。



僕は作品を発信する側でもあります。
これからいくつの舞台を作れるか分かりませんが、
そのことを何よりも大事に作品づくりをしていきたいです。

14歳から僕を導き続けてくれている岡村孝子さん。
34年経った今も、たくさんの大切なことを教え続けてくれるお姉さん。
いつまでも元気でいてほしいです。



まだ岡村孝子さんのコンサートに行ったことがない方、
ぜひ一度、体験しに行ってみてください。
そして「初めてきたよ、という人」という質問に拍手で応えてみてください。

「初めまして。私が岡村孝子です。」

という、とびっきり誠実で可笑しい瞬間に出会えますよ(#^.^#)
「私が」という部分がミソです(笑)


次のコンサートツアーは12月に東京、名古屋、大阪です~。



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岡村孝子さんの言葉と音楽の魅力の事、
その音楽から考えさせられた事などを綴った過去の記事です。
よろしければご覧ください。

2017/07/02 NO RAIN, NO RAINBOW
2017/10/16 光と笑顔あふれる庭で
2017/10/16 光を照らす人、岡村孝子さん。
2017/12/15 岡村孝子さんのクリスマス・ピクニック
2017/12/28 「気」が光る場所へ ~岡村孝子さんクリスマス・ピクニック大阪公演~
2018/06/18 泥中に咲く蓮のように
2018/09/12 世界中メリークリスマス
2018/12/05 カムパネルラのもと~岡村孝子さんクリスマスピクニック大阪公演~
2021/09/08 岡村孝子さん復活の祝祭。
2022/12/04 一輪挿しの水を入れ替える~岡村孝子さんのクリスマスピクニック~
2023/05/16 岡村孝子クリニック受診


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