世界中メリークリスマス♪ [劇作家の時間]
「メリークリスマス」というフレーズは、まだちょっと早い季節ですね。
シアターキューブリックの次回公演『十二階のカムパネルラ』は、
宮沢賢治さんをめぐる人々が登場するクリスマスの物語で、
作品のメインテーマには岡村孝子さんの曲「世界中メリークリスマス」をお借りします。
「今回の物語があったうえで、この曲をお借りする」というよりも、
「この曲があって、今回の物語が生まれた」というほうが正しいかも知れません。
きっと長文になります。
そもそも僕は劇作家を志すよりもさらに前、
14歳で岡村孝子さんの音楽と出会い、以後28年の時間を生きてきました。
ピアノの教師をしていた僕の母親は、来生たかおさんの音楽が好きで、
「アンタ、この曲好きじゃない?」と言われ、聴いたのが「はぐれそうな天使」という曲でした。
来生たかおさんが歌う「はぐれそうな天使」は、なにやらオトナな雰囲気で、
10代の僕には、まだちょっと時期尚早な気がしました。
母はさらに言いました、
「この歌、あの人も歌ってるわよね、ほら、車のCMの」。
すべての始まりはここからでした。
車のCMに起用されていた岡村孝子さんが歌う「はぐれそうな天使」。
不器用なまでのひた向きさ。
この曲を真っ直ぐに表現する岡村孝子さんの存在によって、
僕のその後の生き方は、かなりの濃度で色付けられた気がします。
岡村さんは27歳。僕は14歳。
女性アイドルに求めるような疑似恋愛の存在ではありませんでした。
例えるなら、親にも学校の先生にも知られていない秘密のどこかで、
大人になってからの切なさ、悲しさ、そうしたこもごもをこっそりと教えてくれる、
人生のちょっと先を行く先輩のような存在でした。
僕は岡村先輩が紡ぐ、その言葉や旋律に耳を傾け続けるうちに、
自身もなにがしかの表現者として生きていきたいと思うようになりました。
やがて、舞台演劇の劇作家となり、いくつもの作品を創ってきました。
2002年に書いた『葡萄酒いろのミストラル』(のちに二度再演)は、
岡村さんの曲「mistral~季節風~」から想起して生まれた作品ですが、
それ以外のどの作品も、おそらく、何処とは言えぬほど随所に
岡村さんの音楽世界や人生観が無自覚的に散りばめられているはずです。
それくらいに、物書きとしての僕の細胞は、
岡村孝子さんの言葉と旋律によってかたちづくられている気がします。
「孤独感が発する慈愛」
「人の弱さは強さの源になり、その強さは必ず弱さを内包する」
岡村さんの音楽世界から強く感じるそういった要素が、
いつしか僕の創る作品の普遍性となっていきました。
『十二階のカムパネルラ』の公演のメインテーマ「世界中メリークリスマス」は、
僕にとっては、自動涙腺崩壊装置のような音楽です。
(詳しくは昨年冬のコンサートにお邪魔した際のブログ記事をご覧ください。)
毎日気を張って、オトナの顔を作って頑張る人たちの強がりを
ポキッとへし折ったうえで、優しく包み込んでくれることと思います(笑)。
一年が終わるこの季節の、人々の心を癒すクリスマスソングの代表曲になる、
それくらいの引力がある音楽です。
そういう曲からどんな物語が生まれてくるのか、僕も楽しみで仕方ありません。
同時に大変大変苦しくもありますが。。でも、その苦しいのが楽しいのです。
今回の作品のどんなシーンで、どんなふうにこの曲と「共演」するのか、
ぜひ楽しみにしていてくださいね。
先日、コンサートの終演後、楽屋にて。
岡村孝子さんのご了解を得て掲載しています。
岡村孝子さんの言葉と音楽の魅力の事、
その音楽から考えさせられた事などを綴った過去の記事です。
よろしければご覧ください。
2017/07/02 NO RAIN, NO RAINBOW
2017/10/16 光と笑顔あふれる庭で
2017/10/16 光を照らす人、岡村孝子さん。
2017/12/15 岡村孝子さんのクリスマス・ピクニック
2017/12/28 「気」が光る場所へ ~岡村孝子さんクリスマス・ピクニック大阪公演~
2018/06/18 泥中に咲く蓮のように
********公演情報********
シアターキューブリック 2018クリスマス公演
『十二階のカムパネルラ』
作・演出 緑川憲仁
♪メインテーマ 岡村孝子「世界中メリークリスマス」
シアターキューブリックホームページ http://qublic.net/
2018年11月21日(水)~25日(日)
会場 浅草九劇
宮沢賢治の代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』は、
もう二度と会えない友、カムパネルラをめぐる心の冒険物語。
もしも、そのカムパネルラが賢治だったとしたら......。
大正から昭和にかけての賢治の故郷・花巻と、
浅草十二階と呼ばれた巨塔そびえる浅草を舞台に繰り広げられる、
大正浪漫躍るクリスマスファンタジー。
役者群
高橋茉琴 片山耀将 谷口礼子 千田剛士 榎本悟
眞実 今氏瑛太 金田理佐子 坂本実紅 佐藤沙予
品川ともみ 千葉太陽 鳥居きらら 藤井優海
上演時刻
21日(水)19:30
22日(木)19:30
23日(金・祝)14:00/19:00
24日(土)14:00/19:00
25日(日)13:00/17:00
※開場は開演の30分前です。
観覧料
4,500円(税込・全席指定)
当日 4,800円
学生(大学・専門学校生以下) 2,500円 ※要学生証
※未就学児の観劇はできません。
一般前売開始 9月19日(水)19:00~
会場
浅草九劇 <東京都台東区浅草2-16-2 2階>
つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩3分
東京メトロ銀座線、東武スカイツリーライン「浅草駅」徒歩10分
東京メトロ銀座線「田原町駅」徒歩10分
都営浅草線「浅草駅」徒歩13分
シアターキューブリックの次回公演『十二階のカムパネルラ』は、
宮沢賢治さんをめぐる人々が登場するクリスマスの物語で、
作品のメインテーマには岡村孝子さんの曲「世界中メリークリスマス」をお借りします。
「今回の物語があったうえで、この曲をお借りする」というよりも、
「この曲があって、今回の物語が生まれた」というほうが正しいかも知れません。
きっと長文になります。
そもそも僕は劇作家を志すよりもさらに前、
14歳で岡村孝子さんの音楽と出会い、以後28年の時間を生きてきました。
ピアノの教師をしていた僕の母親は、来生たかおさんの音楽が好きで、
「アンタ、この曲好きじゃない?」と言われ、聴いたのが「はぐれそうな天使」という曲でした。
来生たかおさんが歌う「はぐれそうな天使」は、なにやらオトナな雰囲気で、
10代の僕には、まだちょっと時期尚早な気がしました。
母はさらに言いました、
「この歌、あの人も歌ってるわよね、ほら、車のCMの」。
すべての始まりはここからでした。
車のCMに起用されていた岡村孝子さんが歌う「はぐれそうな天使」。
不器用なまでのひた向きさ。
この曲を真っ直ぐに表現する岡村孝子さんの存在によって、
僕のその後の生き方は、かなりの濃度で色付けられた気がします。
岡村さんは27歳。僕は14歳。
女性アイドルに求めるような疑似恋愛の存在ではありませんでした。
例えるなら、親にも学校の先生にも知られていない秘密のどこかで、
大人になってからの切なさ、悲しさ、そうしたこもごもをこっそりと教えてくれる、
人生のちょっと先を行く先輩のような存在でした。
僕は岡村先輩が紡ぐ、その言葉や旋律に耳を傾け続けるうちに、
自身もなにがしかの表現者として生きていきたいと思うようになりました。
やがて、舞台演劇の劇作家となり、いくつもの作品を創ってきました。
2002年に書いた『葡萄酒いろのミストラル』(のちに二度再演)は、
岡村さんの曲「mistral~季節風~」から想起して生まれた作品ですが、
それ以外のどの作品も、おそらく、何処とは言えぬほど随所に
岡村さんの音楽世界や人生観が無自覚的に散りばめられているはずです。
それくらいに、物書きとしての僕の細胞は、
岡村孝子さんの言葉と旋律によってかたちづくられている気がします。
「孤独感が発する慈愛」
「人の弱さは強さの源になり、その強さは必ず弱さを内包する」
岡村さんの音楽世界から強く感じるそういった要素が、
いつしか僕の創る作品の普遍性となっていきました。
『十二階のカムパネルラ』の公演のメインテーマ「世界中メリークリスマス」は、
僕にとっては、自動涙腺崩壊装置のような音楽です。
(詳しくは昨年冬のコンサートにお邪魔した際のブログ記事をご覧ください。)
毎日気を張って、オトナの顔を作って頑張る人たちの強がりを
ポキッとへし折ったうえで、優しく包み込んでくれることと思います(笑)。
一年が終わるこの季節の、人々の心を癒すクリスマスソングの代表曲になる、
それくらいの引力がある音楽です。
そういう曲からどんな物語が生まれてくるのか、僕も楽しみで仕方ありません。
同時に大変大変苦しくもありますが。。でも、その苦しいのが楽しいのです。
今回の作品のどんなシーンで、どんなふうにこの曲と「共演」するのか、
ぜひ楽しみにしていてくださいね。
先日、コンサートの終演後、楽屋にて。
岡村孝子さんのご了解を得て掲載しています。
岡村孝子さんの言葉と音楽の魅力の事、
その音楽から考えさせられた事などを綴った過去の記事です。
よろしければご覧ください。
2017/07/02 NO RAIN, NO RAINBOW
2017/10/16 光と笑顔あふれる庭で
2017/10/16 光を照らす人、岡村孝子さん。
2017/12/15 岡村孝子さんのクリスマス・ピクニック
2017/12/28 「気」が光る場所へ ~岡村孝子さんクリスマス・ピクニック大阪公演~
2018/06/18 泥中に咲く蓮のように
********公演情報********
シアターキューブリック 2018クリスマス公演
『十二階のカムパネルラ』
作・演出 緑川憲仁
♪メインテーマ 岡村孝子「世界中メリークリスマス」
シアターキューブリックホームページ http://qublic.net/
2018年11月21日(水)~25日(日)
会場 浅草九劇
宮沢賢治の代表作のひとつ『銀河鉄道の夜』は、
もう二度と会えない友、カムパネルラをめぐる心の冒険物語。
もしも、そのカムパネルラが賢治だったとしたら......。
大正から昭和にかけての賢治の故郷・花巻と、
浅草十二階と呼ばれた巨塔そびえる浅草を舞台に繰り広げられる、
大正浪漫躍るクリスマスファンタジー。
役者群
高橋茉琴 片山耀将 谷口礼子 千田剛士 榎本悟
眞実 今氏瑛太 金田理佐子 坂本実紅 佐藤沙予
品川ともみ 千葉太陽 鳥居きらら 藤井優海
上演時刻
21日(水)19:30
22日(木)19:30
23日(金・祝)14:00/19:00
24日(土)14:00/19:00
25日(日)13:00/17:00
※開場は開演の30分前です。
観覧料
4,500円(税込・全席指定)
当日 4,800円
学生(大学・専門学校生以下) 2,500円 ※要学生証
※未就学児の観劇はできません。
一般前売開始 9月19日(水)19:00~
会場
浅草九劇 <東京都台東区浅草2-16-2 2階>
つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩3分
東京メトロ銀座線、東武スカイツリーライン「浅草駅」徒歩10分
東京メトロ銀座線「田原町駅」徒歩10分
都営浅草線「浅草駅」徒歩13分
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