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岡村孝子さん復活の祝祭。 [日々雑録]

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きのう新渋谷公会堂「LINE CUBE SHIBUYA」で
3年ぶりの岡村孝子さんのコンサートが開催されました。
長引く緊急事態宣言で開催さえも危惧されましたが、
満員の観客はマナーをよく守り、一人として歓声をあげず、立ち上がらず。
主催側の徹底した対策のもとに無事開催されたその「祝祭」は
思いやりと誠実な気持ちにあふれた岡村孝子さんらしい空間になりました。

今回のコンサートは、ただ単純に久しぶりということではなくて、
おととし春、急性白血病になり緊急かつ長期の治療・闘病を余儀なくされ、
激動の時間を乗り越えた岡村孝子さん復活の舞台でした。




白血病どころか大病を患ったことがない僕にとっては、
そうした闘病後の人が、ひとり「舞台に立つ」ということが
どれほど大変なことなのかを身をもって知る術はありません。
人並み程度の想像をするならば、多少のパワーダウンや声の「かすれ」は有って当然で、
そんなことより舞台に戻ってきたことそのものを祝福する気持ちで開演を待っていました。


ところが、約3年ぶりに舞台に戻ってきた岡村孝子さんは、
僕のこんな貧困な想像を一瞬にして裏切り、
近年の歌声よりもよほど力強さのある超人になっていました。




病気を患う前から、誰もが等しく年を重ねてゆく一人の人として、
けっして抗うことのできない時間の流れを静かに受け止め、
作風や歌い方も、常に変化しつづけていたシンガーソングライター。
けれどもその変化の中で、
けっして変わらない「少女性」のようなものが光を放ち続けている、
それが岡村孝子さんの魅力のひとつのように感じていました。

今回の舞台で目のあたりにした超人ぶりは、
けっして色褪せることのないその少女性が力を発揮したように思えてなりません。





僕は14歳の時から、岡村孝子さんの音楽を聴いて大人になりました。

大人になって舞台芸術の仕事に携わるようになり、
自分の作品を何本も産み落としてゆくなかで、僕の細胞深くに沁み込んでいる
岡村孝子さんの音楽・言葉にあらためて気づく機会も増えていきました。
きっと僕のなかには、オッサンになってもなお色褪せない「少年性」があって、
それが自分の作品の大きな特徴なのだろうと感じています。

それは取りも直さず、岡村孝子さんの世界に一貫して感じる少女性がルーツです。




渋谷公会堂の客席で僕が岡村さんに送っていた拍手は、
復活をお祝いする拍手だったのと同時に、
岡村孝子さんの作品との出会いによって生まれた
僕の人生にあふれるたくさんの奇跡への、感謝の拍手だったようにも思います。


岡村孝子さんの楽曲『ミストラル~季節風~』がもとになって生まれた物語、
『葡萄酒いろのミストラル』はこの度公演延期となってしまいましたが、
あらためてこうした自分自身の歴史をかみしめながら、
メンバーたちとともに大切に作ってまいりたいと思います。

『葡萄酒いろのミストラル』公演延期のお知らせ
https://qublic.net/info/post_56.html



今思えば、2年半前。

岡村孝子さんの病気の一報を聞いた僕は、まったく生きた心地がせず、
ふたたび元気になってくれさえしたら、あとは何も望んでいませんでした。

病状を少しでも知りたいと思い、病気を報じる新聞をすべて買ったのに、
読むのが怖くて、ついにそれらを一文字も読むことはできませんでした(笑)


それが2021年の9月、こんな幸せなことになっています。



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「NO RAIN, NO RAINBOW」

雨のあとには、虹が出る。




まだまだ夢の途中。前を向いて歩いていこうと思います。

岡村孝子さん、おかえりなさい。



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