SSブログ

公演チラシ束の配布にまつわること [社長の時間]

新型コロナウイルスの位置づけがインフルエンザ等と同じ5類へ移行することが決まり、
「コロナ後」の世界がまた少し近づいてきた感じがしますね。
どの業界の皆さんも本当に頑張られていると思います。
それでも演劇などのエンターテインメント業界は
ずいぶんとその後ろのほうを、七転八倒し続けている感が否めません。


業界に対して出される政府のガイドラインも社会状況に合わせて更新を重ね、
感染防止対策を行なうことは前提のうえではありますが、
かなりコロナ前に近い環境で興行を開催できるところまで来ています。

ただ肝心の観客が劇場に戻っていないのです。






3年前、完全に劇場が閉じられた期間がありました。
その後、かなり細々としたかたちで再開されたものの、
エンターテインメントという雰囲気には程遠い厳戒態勢の再出発でした。
その間、娯楽は自宅や個々の空間で楽しめるものが普及し、
映像の分野は大きくその市場を拡げ、かつ技術も成長しました。
劇場での舞台鑑賞が好きだった人たちも
映像鑑賞で代替できてしまうようになったケースも少なくないはずです。

旅を自宅で体験できないのと同じように、
家を出て現場に行かなければ体験できないのが舞台です。
しかし作品のストーリーをなぞれることで
舞台作品を観た気になれてしまう現状があります。
そもそも映像と舞台はまったく別なのです。

僕たちはこのことをあらためて広く知らせていかねばなりません。
これは一団体、一企業だけでできることではありません。
そこに携わる様々なセクションの人たちが団結して初めて、
ようやく舞台の魅力を忘れつつある人たちまで届くかも知れない、届かないかも知れない、
それくらい重大な状況にあると、各地の劇場で多くの空席を見る度に感じます。




僕が代表を務めるネビュラエンタープライズは、
おもに首都圏の演劇・ダンス公演の劇場で配られる公演チラシ束を作成しています。

このチラシ束、コロナ前はロビーの入口で公演スタッフの方々が
来場するお客さんに直接手渡しすることが通常でした。
しかし、コロナ禍下(特に2020~21頃)に接触感染の可能性の有無が議論される流れで、
配布方法は完全に「ロビー置き」になることが余儀なくされました。
ロビーの隅に置かれたテーブルにチラシ束を積むやりかたです。

この結果、【一公演あたりの配布力は従来比35~50%】となりました。


手渡し:フルキャパ比約70~80%の配布部数
ロビー置き:フルキャパ比約30%の配布部数


その後、接触感染の可能性はほぼないとされ、制限も緩和されたものの、
手渡しの方法に戻る公演はまだ限定的で、
風評被害の恐れや、感染予防対策に割かれる人手等の現場の課題のために、
観劇の前後という、ファンの皆さんに情報を届ける絶好の機会の宣伝力が、
いま現在も低迷したままになっています。

多くの劇場で空席が目立つ一因は、このことにもあると考えています。



興行を行なう公演団体にとっては、そこでのチラシ束の配布方法が、
その公演の動員の伸びに直接影響を与えるものではないため、
人手があまりかからず、風評の恐れもない
「ロビー置き」を選択することは合理的な判断だと思いますが、
一人でも多くの演劇ファンを掘り起こし、
かつてのファンたちにまた劇場へ足を運んでもらう流れを作るには、
業界挙げて、他団体の公演宣伝にも互いに注力することが大事で、
この循環が、ひいては次回以降の自身の興行にも良い影響を与えるはずです。

長年、多くの団体のご協力を得ながら、
相互扶助の観点でチラシ宣伝のインフラを務めてきた立場で見えることを書いてみました。
低迷を続ける舞台業界の突破口を、小さくても良いから一つでも多く作っていきたい、
そして閉塞感が充満する社会に対して、エンターテインメントの力で貢献したい、
これからもその一心で、微力を尽くしていきます。


ラーメン激戦区が盛り上がるのは、きっと自分の店だけじゃなく、
他店とともにみんなで盛り上がっていこうという想いがあるからだろう、
そんなふうに思います。

IMG_3076.JPG


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「今年の干支は兎だよ。」 [日々雑録]

シアターキューブリックのメルマガ配信日恒例のお題ブログ、今月は久々に絵です。

今年の干支、うさぎを正面から描くというテーマです!
写真や絵など、何も見ずにというのが条件なので、
かなりヤバい絵になるだろうと予想しておりますが果たして、、、、












うさぎの正面.jpg



なんか、わりとそれっぽくなってしまいました……

昔、うさぎと一緒に7年くらい暮らしていたので、
うさぎのフォルムとか、姿勢とか、けっこう覚えていたのかも知れません。


「絵と歌は下手にかぎる」というのが信条なのですが、どうも中途半端でいけません。


さて、他のメンバーはどんなうさぎの正面を描いているかな??

メンバーのブログはこちらからどうぞ!
https://www.qublic.net/
nice!(0) 
共通テーマ:演劇

新年も、おはようございます。 [日々雑録]

これを書くことは少し勇気が要ります。

年が明けて「あけましておめでとうございます」と言うことに、実は妙な抵抗感があって。


元日は手帳もカレンダーも新しく変わる特別な日なんですが、
だからこそ、なのかな、自分のなかの日常を亡くしたくない、
という気持ちがもやもやと立ち込めます。

以前から社会不適合者の自覚はあるのですが、
友達や応援してくださる方々に呆れられたくなかったからなのか、
こんなことを書くのは初めてです。


年末の大掃除が、大晦日に終わらなかったことは寧ろ幸いで、
今日は昨日の続きの掃除をしました。その日常の感触が幸せでした。
そんな僕でも正月休みがあけて、人に会えばきっと新年の挨拶をしまくると思います。
だから、せめて新年の過ごし方やSNS上では自分らしくいたいと思って。


クリスマスの近辺だけ、街じゅうが世界平和を願う特別な空気になるのが苦手なように、
新年をお祝いする特別感が苦手です。
1年365日のうち、仮に1週間をハッピーニューイヤーモードで過ごすことで、
必然的に喪うことになる1週間の日常がもったいない、というか。



今年は、ぬるっとした新年を心がけてみました。

朝、家族には「おはよう」と言いました。

お掃除をして、布団を干して、なるべく新年のテレビ番組を観ないようにしました。

一番観たい映画を観ました。(「ALWAYS 三丁目の夕日’64」です(#^.^#))

ふだんと同じトレーニングをしました。



なんか、よかったです。






だって、この先、何度お正月を迎えられるか分かりません。

だから世間の空気に巻き込まれ、もやもやとした気持ちで新年をスタートするより、
自分の人生のリズムとトーンで、どんな日も生きていきたいなと、
かなり今さらですが思ったのでした。


新年最初の朝も「おはよう」がいいな、って思った2023年の元旦でした。



平穏な2023年になりますように。


IMG_9558.JPG


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「サンタさんにお願い!」 [きゅ~め~るのお題]

毎月9日は劇団メルマガきゅ~め~るの配信日。
メンバー全員が決められたお題についてブログを書く、という恒例行事です。
これ、たぶんもう15年くらい続いてますよ。よくやってるわ~。

そして今回はこの季節らしいお題「サンタさんにお願い!」
一番苦手なヤツですよ、トホホ……。
なので一日遅れてしまいました、ごめんなさい。


今まで何本かクリスマスストーリーを書いているので、
シアターキューブリックも緑川もクリスマスが好き…?
みたいなイメージを持たれることもあるのですが、
ご覧になられた方は分かる通り、内容はアンチクリスマスな立ち位置のものばかり。
ですので、こういう方面の文章は大変困ります……。




そんな僕でも子供の頃は、イブの夜、胸を高鳴らせてお布団に入っていた時期もありました。
でも気づいたら「クリスマスってどうやってやり過ごしたらいいんだろう、、、」
と思うようになっていました。

だって、みんなの幸せも世界平和も、クリスマスじゃなくたっていつも願っているんだもの。
なのにどうしてクリスマスになると、突然こうしたワードが出てくるのか、
そしてそういうものに対してどう向き合ったらいいのかよく分からないのです、今も。





サンタさんにお願いしたいことなんて正直何もないのですが、
年々大切だなあと感じるのは、健康な体と平凡な毎日です。


誰かにお願いして、頂くものではありませんが、
願わくば、そこそこ健康な体と、そこそこ平凡な毎日をください。

それさえあれば、身の丈にあった楽しみを自分で見つけて、手に入れて、生きていけます。

そして、僕だけじゃなく、世界中の皆さんにも等しくそういうカラダと時間をもたらしてほしい。
そんなふうに思います。





こんなに便利で豊かな時代に生まれて、
自分は多くを望まないと言いながら、
それでいてたくさんの恵みに囲まれて生きています。
今までの当たり前は、明日の当たり前ではなくなるかも知れない。

そういうことも考えながら、
この青い星にたまたま生きている宇宙人の一人として生きていきたいなあって思います。




ブログを書き終わった後、昔の記事を探していたら、
まったく同じお題で、ほぼほぼ同じことを書いていたよ!!!
俺、引き出し少なっ!!って思ったけど、まあ、同じになりますよ(笑)
https://tofu-no-kado-new.blog.ss-blog.jp/2019-12-09


IMG_8939.JPG


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

一輪挿しの水を入れ替える~岡村孝子さんのクリスマスピクニック~ [日々雑録]

『ミストラル~季節風~』や『世界中メリークリスマス』など、
自身の舞台作品でもメインテーマとして楽曲をお借りしている
シンガーソングライターの岡村孝子さん。
少年時代から僕の人生を支え、むしろこの方によって人生が拓かれたともいえる
岡村孝子さんの4年ぶりのクリスマスコンサートへ。


IMG_8874.JPG


3年前に見つかった病気との闘いのために、
一時は音楽活動も休まれていた時期もありましたが、
とても大切にされているコンサートも行えるようになったのは昨年の9月。
完全復活されたのかどうかはご本人でないと分かりませんが、
不思議なことに姿も歌声も、大病を患う前よりも元気な感じで、
生命力、想いの強さ、目に見えない不思議なチカラを感じざるを得ません。




コンサートの幕が開き、逆に僕のほうがこれまでになく心が疲れていることに気づき、
2時間30分にわたる手術のような時間が始まりました。


コロナウイルス禍によって続く舞台業界の大不況と会社経営の苦境。
心が疲れている理由は自分でもはっきりと分かります。
知らないあいだに僕の心は疲れと不安に蝕まれ、体は委縮し、
血も澱みきっていたのだと思います。
この僕の細胞は岡村孝子さんの言葉と旋律でかたちづくられているのですが、
この1~2年はそのようなこともすっかり忘れ、
孤独ではないにもかかわらず、自ら孤立し、
ここに書くことも憚られるような、良くないことも考えるほどでした。


岡村孝子さんも確実に変化し、老いていく一人のひとですが、
この方の場合、生きものと思えないくらいの「不変」があります。


「まっすぐに生きている」という不変。


少年だった僕を惹きつけ、今も堅く離さないチカラはここにあります。

人ですから、当然、苦悩や低迷はあるはずです。
もともと力強いのではなく、自分との格闘の末に掴み取った強さ。
もしかすると、自分にもできるのではないかと思わせてくれる希望。
岡村孝子さんに感じる希望は、それです。






最近知人から思いがけない言葉をもらいました。


「岡村孝子さんは緑川にとってゴールデンシャドウ」。


ほんとうにそうなんだと思います。
自分の人生もかくありたい、そう思い続けてきた半生。

そんなありがたい存在も忘れ、周りで支えてくれる人たちにも頼れず、
一人で苦しんでいる自分を、予期せずに突き付けられたのでした。
岡村孝子さんの歌がまるで説教(説法)のように思われました。




優しさや幸せは、自分が思っているよりもたくさん自分の周りにあります。
難しいのは、それに気づける自分でいられるかどうか。
30年間、岡村孝子さんが僕に問いかけ続けてくれているのは、
そういうことなのかなと。
そして、僕もそういう自分で在り続けるために、
この人のように優しさや幸せな気持ちをたくさんの人に届けるために
物語を創り、会社を束ねようとしているのだろうと。




仮に僕が一輪の何かの花だとしたら、
一輪挿しの水を入れ替えてもらったような、
自分の中の水が透きとおった水に替わったような、
そんな感覚を覚えながら渋谷の公園通りを下ったのでした。


そして僕だけではなく、たくさんの方たちがそれぞれ貴重な何かを得たり、気づいたり……。
岡村孝子さんにはいつまでもそういう大切な瞬間を創る存在であり続けてほしいと、あらためて強く思いました。

病気を克服し、戻ってきてくれてありがとうございました。


FjDp5ecUoAAhjWT.jpg


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「くりくり!まろんまろんが100倍楽しくなる方法!」 [きゅ~め~るのお題]

シアターキューブリックのメールマガジン「きゅ~め~る」配信日恒例のお題ブログ。
今回はいよいよ来週末に迫ったシアターキューブリックプレゼンツの墨田区のお祭り、
「キラキラ橘★くりくり!まろんまろん」のこと。


FgIyBSdVQAAT0oj.jpg



昨年は「勝つ勝つ海舟」でした。今年は「くりくり!まろんまろん」です(笑)
もちろん真面目にやっております。



やっぱり秋の魅力はグルメです。
いつも通り、僕らはエンターテインメントの角度から街を盛り上げようと思いますが、
舞台となる商店街の主役はやはりお店自慢のグルメ!!
ふだんは栗を扱うことのないお店の皆さんにも、
今回のイベントオリジナルで栗(マロン)にまつわるメニューを作ってもらいました!


大国屋さん(おでん屋)の「くりボール串」、
こんこんさん(たこ焼き屋)の「びっ栗たこ焼き」、
ベーカリーチャウチャウさん(パン屋)の「もちもちマロンショコラ」、
鳥正京島店さんの「栗コロッケ」、
たぬき寿司さんの「びっ栗玉子串」、
和菓子さがみ庵さんの「びっク~リ」、
おでんスタンド十さんの「栗の出汁フォンケーキ」「モンブランベリーラテ」。

いやあ~、今の時点でどういうものが出てくるのか分かりませんが(笑)
それぞれのお店の知恵が結集したものであることは間違いなし!


ぜひ当日はお腹を空かせてキラキラ橘商店街に来てくださいね!
詳しくは「キラキラ橘★くりくり!まろんまろん」のホームぺージをご覧ください。
https://qublic999.wixsite.com/kurikuri



今回のイベントもキラキラ橘商店街の皆さんはじめ、墨田区役所の皆さん、
アーティストやパフォーマーの皆さんのお力で出来上がっています。
この場を借りてお礼を申し上げます。


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「上半期個人的ビックリニュース」 [きゅ~め~るのお題]

この年齢になってみると、正直あまりびっくりすることがなくて、
今回のお題もずいぶんと考え込んでしまいました。
何かひとつを取り上げて、「これ!」というものはないのですが、
広義の捉え方でびっくりしたこととしては、「出会い」です。


僕が応援する元乃木坂46のメンバー橋本奈々未さんが
数年前、芸能界を引退する際に残した言葉と奇しくも重なるのですが、



「人は必要なときに必要な人と出会う」。



思えば、僕の人生はこの連続です。そのことにあらためてびっくりです。
今年もそういう出会いがいくつもありました。

5月に上演した『葡萄酒いろのミストラル』では、
一歩も家の外に出たことがなかった犬が、岩手まで大冒険をする物語で、
その途中いくつもの出会いを経て、一人ではけっして成し得なかったところへと跳躍します。
大切な出会いを重ねて少しずつ大人になってゆくその姿は、
これまでの自分の人生と少し似ていて、
僕ももしかしたら彼女のようにいつかは夢を実現できるかも知れないと、
僕自身が自分の作品から勇気をもらったりもしました。



この先いったい何歳まで生きられるかは分かりませんが、
人生を振り返る余裕がある死に際だとしたら、
自分の人生には大切なたくさんの出会いがあったことに、
今以上にびっくりして死ぬんだろうなと思います。
うん、きっとそうだと思います。

いきなり何かにぶつかって死んでしまうより、
できればそういう死に方がいいなあ(笑)


さて、他のメンバー達はどんなことにびっくりしたのかな!?


IMG_1162.JPG

風景との出会いも大切な出会いのひとつ。
nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「最近見た、悪夢」 [きゅ~め~るのお題]

シアターキューブリックのメールマガジン「きゅ~め~る」の配信日毎月9日は、
劇団員がその月ごとに設定されたお題についてブログを書くのですが、
投稿が遅くなってしまいました、大変申し訳ありません。
しかも、今回のブログお題、自分から劇団に提案したにもかかわらず……。



お題は「最近見た、悪夢」です。


悪夢、いくつか覚えているものはあるのですが、夢というのは色褪せるのも早いもので、
記憶している悪夢をあらためて言葉で綴ろうとしても容易に気持ちが乗らず。

なので、新しい悪夢を見ようと、ここ数日毎晩努力していたのです(本当に)。



そして、今これを書いているということは……。








はいっ!今朝とれたての悪夢がこちらです(*´Д`)






旅好きだからなのか、僕は一人旅をしていました。

そして、この日の宿に、かなり遅い時間に到着しました。

旅慣れているほうなので、宿選びを大きくハズすことはほぼないのですが、
今日泊まる宿は、直感的に「あれ……」という感じでした。




民宿のような飾り気のない宿の玄関を入ると、
主人と思しき人が面倒そうに僕を出迎えました。
トイレや風呂の場所、明日の朝のこと、
部屋にパンフレットでも置いておいてくれれば、
こんなに気持ちのこもらない説明も聞かずに済むのになあと思いながら、話を聞き。

そして今日泊まる部屋まで連れていかれるのですが、その道のりの長いこと。
黴臭い年季の入った廊下、階段……のみならず他の客が泊まる部屋の中まで横切り、
ある部屋では、中年カップルがその最中だったりするなかを
「ちょっと失礼しますね」とか言いながら、
宿の玄関は1階でしたが、谷に建物が造られているのか、
下へ下へ、いったいどこまで降りるのかというくらい歩かされました。




そしてようやく着いた部屋には、すでに布団が一人分敷かれていました。


案内してくれた従業員が去った後、

いえ、去る前から違和感を覚えてはいましたが、その布団の中には先客がいました。

そして僕を待っていたかのように起き上がったのは、巨体の中年女性でした。



ここは飽くまでも旅館であって、風俗的な何かではないはずなのですが、
その大きな女は、「あなたが予約したのはこういうプランですから…」と言って、
自分がそこにいるのは、さも当然のごとく、僕が安眠するはずの布団の上に居座り、
まったく状況が理解できていない僕を、色気ゼロの視線でいざなうのでした。

むしろ彼女もすべてが面倒くさそうです。
だったらいっそのこと、部屋を出ていってほしいと思いましたが、
そのふてぶてしい顎がだるだると揺れ、
これ以上意味の分からない言葉を聞かねばならないことのほうが煩わしく、
彼女との議論を避け、ひとまず風呂へ避難することにしました。

すると、外の廊下はすでに風呂のお湯で膝上の高さまで浸かっていて、
風呂に行くまでもなく、そこがもう風呂なのでした。



夢なので、時間の歩みは歪んでいます。
部屋を出た僕がどのように過ごしたのか、
もう忘れてしまったのか、描写されなかったのか、今はもう記憶していません。



おそらく僕はその部屋には戻らず、
建物じゅうが風呂と化したどこかで朝まで時間を潰したのだと思います。
部屋に戻れば、さっきの大きな女がどんなふうに僕を待ち構えているか知れません。
下手をすれば餌食になります。


僕はたぶん朝まで眠れなかったのだと思います。

そして朝食さえ出されないまま、宿を出る時になりました。



すると、あの例の大きな女が気だるい感じのまま会計を仕切りはじめました。


(こいつ、宿の人だったの……!?)


睡眠も、食事も取れず、一円たりとも払いたくない僕でしたが、
求められた宿泊代6万5千円を、まるで手切れ金を掴ませるように支払い、
膝上までお湯で浸かった廊下に出て、
途方もなく長い階段と廊下をふたたび通って、悪夢のような宿を後にしました。




夢なのですぐに忘れるはずですが、
たぶん、世界のどこかにこういう宿はあります(笑)


皆さん宿選びにはじゅうぶん気をつけてくださいね。

そして素敵な旅を。



IMG_0316.JPG

そっか……こんなトンネルを通ったからなのかなあ~(>_<)


nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「夏休みの思い出」 [きゅ~め~るのお題]

シアターキューブリックのメールマガジン「きゅ~め~る」配信日恒例のお題ブログ。

先月から一転、普遍的なテーマが来ましたね、これはこれで難しいですね。
というより、夏休みというものが大昔過ぎて思い出すのが大変という方が正しいです。


夏休みと言ったら宿題が必ずあった訳ですが、
僕は毎年夏休みに入った瞬間にほとんどの宿題を終わらせていました。
真面目と思われるかも知れませんが、僕の感覚では
逆に宿題を後に取っておくほうが真面目だなあと思います。
だって夏休みまるまる遊びまくりたいじゃないですか~!
そのためには宿題はなるべく早く全滅させたる!っていう
完全に遊び人のスタンスの考えなんですよ。


ただ、休みに入った瞬間にやっつけることが困難な宿題があります。


日記と自由研究です。


これは、イヤでしたねえ。ずーっと頭の片隅に残ります。





小学校4年生の夏休みの自由研究。
この年の夏は、群馬と長野と岐阜に出かけることになっていたので、
それぞれの場所の石を集める、という可笑しなテーマを思いつきました。
和菓子の空き箱が石を置くのにちょうどよい仕切りがあったのでそれを使いました。


「各地の石」とタイトルが書かれ、丁寧に石が並べられた菓子箱。
それぞれ特徴のある各地域の石を並べてみて思ったのは、

「これ、誘拐じゃね?」


石は口がないので泣きわめいたりはしませんが、
見知らぬ土地に連れてこられて、見ず知らずの石と一緒に並べられて、
「いったいこの子(石)たちはどう思っているのだろう……?」
という罪悪感でした。


かといって、もう東京に戻ってきてしまっているので、
元の場所に戻すことはできません。10歳だった僕は途方に暮れました。



これは後年知ったことですが、石や自然物を拾って持ち帰るのは良くないということ。
スピリチュアルな話になりますが、木や石には霊が宿るといいます。
当然、良い霊の場合もあれば、そうでない場合もあります。
小学生の僕が、石を集めた後に何やら後ろめたい気持ちになったのは、
本能的にそうしたことを感じたからかも知れません。
それ以降、僕は自然物を持ち帰ることはしなくなりました。

この時集めた石は、その後どう扱ったのか覚えていません。
結局小さな子供ですから責任は取れませんよね。いろいろと良くありませんでした。






そして、この宿題のことを覚えていた理由はもう一つあります。


この自由研究のタイトル。


「各地の石」。


センス、ゼロですよ。ノーセンス。鳥肌が立つレベルです。
小学生だからといって許されるものではありません。


その後、劇作家の仕事をする大人になり、
作品のタイトルをいくつも考える立場になった訳ですが、
この時の反省がいつでも僕の心の奥のほうに燻っている気がしています。

「タイトルはマジで大事だぞ……」と。


もう37年も前になる、夏休みの思い出です。

N22drRKV.jpeg.jpg

nice!(0) 
共通テーマ:演劇

今月のお題「最近○○ですけれども……。」 [きゅ~め~るのお題]

シアターキューブリックのメールマガジン「きゅ~め~る」配信日恒例のお題ブログ。

なんですか、このお題。難しすぎます。
おかげで投稿が一日遅れてしまいました。




いろいろ考えましたが、

○○のところには「疲れやすいん」と入れることにします。



最近疲れやすいんですよ。暑いですしね。
40代ですから年齢もあるんでしょうけど、
80歳でもピンピンしている人もいれば、ヨボヨボの人もいますので、
実年齢って言い訳にはできないと思うんです。


運動がとても大事だと思っています。
でも現時点ですでに疲れているので、なかなか運動をする気が起きず、
「今日はパスしてしまおう」みたいな日が続くと、
ますます体力が落ちて、疲れやすくなって、運動するハードルが上がってゆく……。

嗚呼、この筋書きがはっきりと目に浮かびます!(笑)
これでは50代でヨボヨボになってしまいます。

分かっているならやればいいだけですね。
それを放置する、ということが精神衛生的にますますよくありません。


『葡萄酒いろのミストラル』の俳優たちはものすごい運動量でした。
あんな作品を毎日稽古し、過酷な本番を駆け抜けた彼らを心から尊敬します。
もう一回あの映像を観て自分を奮い立たせて、今日からアクションを起こすとします。



皆さんの最近はどんな○○ですか~?
僕みたいに放置してしまっていること、ありませんか~??

_GUU0766.JPG
▲あなたたちはすごいよ!!!(写真:宮内敏行さん)

nice!(0) 
共通テーマ:演劇