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ぼくらの会社が劇場になった日 [社長の時間]

江東区の亀戸にある会社Next(ネビュラエクストラサポート)は
演劇業界の会社ですが、建物は街でよく見かける4階建てのふつうのビルです。
そんなぼくらの会社が先週末「劇場」になりました。
「柿喰う客」や「阿佐ヶ谷スパイダース」などの舞台制作で知られる
ゴーチ・ブラザーズさんの企画にNextが会場提供というかたちでコラボさせていただいたんです。

「なんで、こんな場所を演劇の会場にするの?」と思いますよね。
今回ゴーチ・ブラザーズさんが企画した公演は、よくある舞台公演ではありません。
コロナウイルスの自粛期間中に重宝した宅配サービス、その「舞台版」ともいうべき
「配達演劇」の実験公演なのです。

名づけて「THEATRE A/way(シアターアウェイ)」。
注文に応じてトラックで演劇を配達し、その場で上演するプロジェクトです。

うちの会社には、ふだん数多くの舞台公演のチラシが配送されてきます。
そのため、大きなトラックが荷下ろしできるスペースがビルの前にあります。
そこへ舞台装置を載せたトラックを駐車し、
車両後方のゲートや荷台を舞台として使う、という仕組みです。

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感染対策にも十分配慮し、客席は換気状態の良いほぼ野外の環境に設置し、
お客さんのおもてなしをするスタッフや関係者の皆さんは、
うちの会社で扱っているフェイスシールドを付け、
お客さんが安心してお芝居を楽しめる環境をとことん追求されていました。
会社の目の前には京葉道路という交通量の多い道路があり、
行き交う車や電車の音も、ひっきりなしに聞こえるのですが、
不思議とお芝居と環境音が絡まり、時々通行人が足を止めたりして、
配達演劇の醍醐味を創り出していたように思います。

僕は僕で、これまでローカル鉄道、古戦場、商店街、銭湯、遊覧船等々、
劇場を飛び出したスタイルの作品づくりを10年以上やってきて、
「演劇はどこでもできる!」という確信がありました。
劇場とはまったく違う環境で作品を創る難しさはありますが、
そのハードルがあるからこその可能性追求の魅力に溢れています。
「トラックが運んでくる演劇」。劇場でのお芝居には無い魅力が満載です。



「お金をかけなくたって、工夫次第でやれることはいくらでもある」

演劇からは今までもこうしたことを学んできましたが、
今回の企画に参加させてもらって、自分たちの会社は
「舞台芸術を盛り上げていく会社なんだ!」ということを
あらためて各自の毛穴で実感できた機会になったと思います。
コロナによって何千もの舞台公演がなくなってしまいました。
4月、5月は毎日フル稼働のはずだったNextの仕事もなくなってしまいました。
けれども舞台芸術はなくなりません。
だから、やれることはたくさんあるんです。

緑川の座右の銘、「雪が降るのは自分の所為」の出番ですね(^_-)-☆
何かのせいにしたら、そこでおしまい。
こんなつまらない人生はありません。
コロナさんのせいにしていても、何も解決しませんからね。



「コロナ前の日常に戻ることは無い」と誰かがニュースで言っていました。
戻ってたまるかです。
この得難い体験を業界のみんなと共有しながら、
新しいステージを創っていくんです。
僕はそのためにこの会社をやっています。

ゴーチ・ブラザーズの皆さん、キャスト・スタッフの皆さん、
今後の可能性ありまくりの実験公演をご一緒させていただいて、
ほんとうにありがとうございました。
ビルの大家さん、近隣の皆様にも感謝申し上げます。



気づいたら一枚しか写真を撮っていませんでした。。
実験公演の様子は以下の記事をぜひご覧ください!

THEATRE A/way(シアターアウェイ)公式ページ
https://theatreaway.amebaownd.com/?fbclid=IwAR03B5lKIsjG76QzjxZ9W_dgV9EEfyayxW0r2YKbMfGhjTSLsROQATeu0SE

SPICEさんが詳しいレポートを掲載しています!
http://spice.eplus.jp/articles/271281

毎日新聞さんも記事にしてくださいました!
https://mainichi.jp/articles/20200621/k00/00m/040/017000c

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会社の再開と新サービス [社長の時間]

約2か月にわたり休業していましたネビュラエクストラサポート(Next)は、
6月1日から緩やかに業務を再開しております。
再開初日は、今年の新入社員2名を加えた社員全員が久々に集まり、
現状の共有と今後の進み方についての話をしました。
会社のみんなが同じ空間にいる喜び、安心感……、
やっぱり「人が集う幸せ」は人間にとってかけがえのないものです。
そして、自分でも驚くぐらいに「売上ゼロ」「融資数千万円」といった言葉が、
さらっと自分の口から出てきて、2月以降約3か月にわたって体験してきた毎日は、
やはり相当異常な時間だったのだとあらためて感じました。
そして、その異常な毎日は今後のスタンダードにもなってゆくのだと。



劇場に対する休業要請も解除されました。
ですが、舞台芸術というのは劇場の営業がOKになったからと言って、
蛇口をひねって水が出るように、公演が始まるわけではありません。
稽古のために関係者が集まることもできなかったわけですから、
エンタメ業界の実質的な再開までにはもっともっと時間がかかります。
うちの会社の事業は、多くの舞台公演に寄り添いながら回ってきたサービスです。
つまり舞台公演がなければ仕事がないのです。

かといってその状況に甘んじていては、瀕死状態に陥った業界への貢献もできませんし、
そもそも会社はあっという間に潰れてしまいます。
今こそ舞台業界の皆さんとともに、劇場空間にお客さんの笑顔を取り戻したい一心で、
僕たちは新たなサービスを始めました。感染症対策関連グッズの販売です!



まずはフェイスシールドとアルコール消毒液です!!

商品の種類はまだ少ないですが、扱う商品を決めるまでしっかりリサーチをしました。
フェイスシールドは、街やテレビで見かけるそれとは、かなり形状が違います。
なんと、マスクの紐やメガネを盤面にひっかけて使うのです!
バンド要らずで、シールドの存在感が大変薄く、
周囲の人たちに圧迫感や緊張感を与えたくない空間での使用に最適です!
消毒液などで拭けば、ある程度の再利用も可能です。

そして、いまだ店頭で手に入りづらいアルコール消毒液は、
スプレータイプとジェルタイプの2種類をご用意しました!

通販では種類が多くてどれがいいのかいまいち分かりづらかったり、
海外からの発送だと、ちゃんと商品が届くか不安だったりしますが、
いずれも純国産の商品を揃えております。安心してお買い求めください。

詳しくはホームページをご覧ください。
http://seisakuplus.com/

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うちの会社は劇場を運営しているわけではありませんし、
作品を上演する団体でもありませんが、
安心して作品を楽しめる劇場の環境づくりに全力で取り組む情熱は、
けっして劇場や主催団体の皆さんにも負けません。
お客さんの笑顔で客席がいっぱいになる日を、
一日でも早く取り戻してまいりたいと思っています。

「Nextがこういう商品を扱ってくれたらありがたい!」
というものがありましたら、ぜひぜひ教えてくださいね。

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未来はもともと五里霧中 [社長の時間]

毎日とにかくニュースを見ています。
コロナのニュースばかりで気が滅入りそうですが、見ずにはいられません。
この状況下で苦しんでいるのはけっして自分だけじゃないんだという事実を
できるだけたくさん得ることで、自分を落ち着かせようとしているのかも知れません。



この2か月、今までにないほど追い込まれている自分を感じています。
起きてから眠るまで。
劇団を20年もやってきましたし、アルバイト収入だけの時代も長くありましたから、
経済的困窮には割と慣れているほうだと思うのですが、
経営する会社の経済となると、個人のそれとは桁が違います。


舞台業界は緊急事態宣言が出る1ヶ月半も前から公演を自粛する興行が相次ぎ、
4月、5月は業界全体が完全に凍結してしまっています。
この先、仮に宣言が解除されたとしても、瀕死の状態の業界が活気を取り戻すまでには、
感染防止対策の徹底、風評払拭の努力、安心の共有、
なにより各団体の財政的体力の回復等々、難題が山積です。
その間も会社を維持するためには、零細企業とはいえ数千万円の資金が必要です。

今日は先日申請した融資決定の通知を受け取り、また別の新たな融資手続きを行いました。
「融資が決まった」という知らせを受け取って、ホッと安堵した反面、
ものすごく大きな不安がこころに垂れ込めました。
ぶっちゃけ、この大金を返す算段なんて無いも同然です。
この借金の返済が始まるころ、
果たして舞台業界がどうなっているかなんて、誰にも分からないのですから。
それでも僕は大金を借りました。
もはや、「この今を生きるため」という動物の本能のようなものです。

世の中、僕みたいな不安で溢れかえっているのだろうなと、
毎日ニュースを見ていればイヤでも分かります。
むしろ僕が抱えた借金の額なんて、牛のお尻に止まった蠅のようなものかも知れません。



コロナの前から、今日のうちに明日のことが分かるなんてありませんでした。
未来はもともと五里霧中です。
そう思えば何もかもすっきりできそうですが、そううまくも行きません。
コロナといい、この巨大な不安といい、目に見えない敵というのは大変厄介です。
自分を律して、奮い立たせて、不安を散らして、仲間を鼓舞して、
的確な判断と行動をしながら、死なずに生きていかねばなりません。





不安の海を泳いでいくときには、「確かなもの」が頼りになります。


目の前の仲間。家族。お客さん。

立ちはだかるハードル。並べられた数字。

愛用のノート。ボールペン。

羊水のように包みこんでくれる音楽。

天国みたいなお布団。

そして、生きている自分。




そういった確かなものをフル活用して、
生きがいMAXで生きてゆくほかないのだろうなと。




サバンナの大地で、猛獣と見つめ合ってしまった瞬間の小動物。
それがいまの僕です(笑)
次の瞬間生きているか分からない最悪の状態。
あるいは生きている実感フルマックスの最高の状態。

だいじょうぶ、未来はもともと五里霧中。


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苦渋の休業決断とこれから [社長の時間]

舞台芸術業界のチラシ宣伝におきまして、
長年ご愛顧をいただいている弊社、ネビュラエクストラサポートは、
この度、首都圏に出されました緊急事態宣言を受けまして、
該当期間である5月6日までの休業を決定いたしました。
これまでずっと、対外的な休日こそ時々あれども、
「1か月が50日あったらいいのにー!」と叫びたいほどに
ほぼ休むことなく、オリジナリティあふれる皆様の公演チラシを束ねて、
丁寧に箱詰めし、劇場にお収めしてきた僕らにとって、
「休業」などという事態は、およそ想定もしていないことでした。


先々月の後半以降、新型コロナウイルス感染拡大の阻止のため、
政府からの自粛要請を受け入れた数多くの公演やイベントが中止・延期となり、
弊社が日頃お付き合いさせていただいている皆様からも
本当に多くの嘆きや戸惑いのお声が届いておりました。
業界じゅうのチラシをお取り扱いしている企業であるだけに、
皆様の格闘や苦悶も、イヤというほどに会社に集まってきていました。
制作者皆様ならびに俳優・アーティストの皆様が置かれていらっしゃる
「大変だ」などという言葉では済まない状況、心が痛むばかりです。
何しろ僕自身も小規模ながら公演団体を経営しており、
明日初日を迎えるはずだった公演がとびました。


弊社は舞台業界振興を目指し、各団体の皆さんを出来得る限り支援してまいりたい、
そうした心を持ったスタッフが結集している会社です。
ですが、今回のコロナウイルス感染拡大の非常時においては、
弊社自身の存在の小ささを、ただただ思い知るばかりです。

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弊社は「どこまでも、人が集う幸せを求めて。」という企業理念を掲げておりますが、
作り手と観客が同じ空間に集い、作品を共有し、感動を分かち合う、
それが舞台芸術のオリジナルかつ最大の魅力であり、
その場所で、作品の一部とも言える公演チラシを、顔と顔を合わせてお渡しする、
それがチラシという宣伝アイテムの魅力と捉え、事業にあたってまいりました。

しかし、今回のウイルス感染に際しては、
それらの魅力そのものが最大のネックとなってしまいました。


であるのなら、感染拡大の阻止と撲滅が最大の使命であることは分かりきっています。
弊社としていま出来ることは何か、会社のスタッフと話し合いを重ねた結果、
大切なスタッフのいのちを守るためにも、
首都圏で活動する方々の接触と移動を最小限にとどめることに貢献するためにも、
今回の休業措置を決めました。

毎日、ニュースや新聞では、政府が検討している企業救済の措置の検討が報じられ、
企業経営者の末席を汚している僕も日々一喜一憂しております。
今後の舞台業界全体のチラシ宣伝の環境を考えても、
倒産だけは是が非でも避けねばなりませんので、
受けられるかぎりの融資は手続きを進めているところです。
ただ、融資は融資、無金利無担保と言ったって借金ですからね。


休業期間中、特に舞台業界の皆様には
多大なるご不便やご迷惑をおかけしてしまうかも知れません。
業務再開後も、しばらくは通常時とは異なる運用も出てくることと思います。
ですが、「休業」という選択が、弊社がいま、
舞台業界全体に向けて貢献できる最善の策であると考えました。
もちろん休業中も、必ず訪れる新しい時代の日本で、
舞台芸術が多くの人々に必要とされ、幸せをもたらすものになるよう、
スタッフ一同、これからも多くの皆様と手を携え、知恵を出し合いながら、
ますます精進すべく努めてまいります。

なお、休業期間に関する詳細につきましては
弊社ホームページをご確認くださいませ。
http://www.seisakuplus.com/orikomi/temporary.php

何卒よろしくお願い申し上げます。


有限会社ネビュラエクストラサポート(Next)
代表取締役 緑川憲仁


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あと、皆様、身近なアイテムほど、たくさん触っていますので、
携帯電話等々、清潔に保ちましょう。
目に見えない敵って、ほんとうにイヤですね。


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意見と感想 [社長の時間]

20代に劇団を立て、最近では会社を預かる立場になり、
いろいろなプロジェクトを常に抱えてきた僕ですが、
それらを仲間と共有し、前に進めていこうという場で時々出てくる「感想」。
これが登場すると、いつも言葉を失ってしまう癖があり、良くありません。
心のなかで「で、なに……?」と思うのですが、
それを口に出すと場がイヤな感じになりますし、
しばらく、目的を踏まえた建設的反対意見の言葉を待っても、
だいたいの場合、そこへ続いてゆくことはあまりありません。



発案をしたことがある人なら、きっとそうだと思うのですが、僕の場合は
自分の案に対して拍手喝采や手放しの賛同が必ずしも嬉しいわけでもありません。
むしろ自分が気づかない問題点を見つけてくれるほうが有難く思います。

ただ、問題点を感じるがゆえに、はやばやと案そのものを否定する思考に走るのは、
とても勿体ないことだと思います。出された案も、それを見て感じた問題点も。
感想は外部の人に任せておけばよいことです。
せっかく感じた問題点、その課題を解決する方法を考えて、
どうすれば、自分の前に提示されたプランが磨かれてゆくかの意見を出し合う、
それが目的集団に属する人の「ONE TEAM」の意識だと思っています。
突然、流行りの言葉を使ってみました(笑)


自分の脳内で目的や意図に対する理解が曖昧なとき、
意見のつもりが一介の「感想」になってしまうのだと思います。
相手の話を聴くときに、相手の意図「なぜそのように思ったのか」を
想像できる自分でいられるよう、常にアンテナを立てていたいと思います。

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品物を売っているんじゃない、情を売っているんだ。 [社長の時間]

ネビュラエクストラサポートというウチの会社は、数多の公演チラシを束にして
主催団体が公演を行なう劇場へ、チラシ束を納める仕事をしています。
さらに新国立劇場やステージアラウンド東京などで行われる一部の公演では、
ロビーでのチラシ束配布までを担当するケースも出てきました。


劇場で直接お客さんに接する機会は、
僕らにとってはとても貴重な学習の時間でもあります。
会社の事業でも、社員それぞれの担当業務でも、
「専業化」というのは合理的で効率化を促進できるものです。
ただ、気をつけていないと、気づかぬうちに視野を狭めてしまう場合もあります。
合理的というのは、得てして非合理的なものだったりもしますね。
演劇が好きで、演劇のチラシの仕事に関わりたいと思っていたとしても、
数百種類の公演チラシに囲まれているだけの日々を送っていたら、
もしかすると、いつしか大好きなはずの演劇のチラシが、
ただの紙っぺらに思えてきてしまうかも知れません。
また、演劇のチラシのことを、フツーに演劇のチラシとだけ捉えていたら、
そこに創作はありません。
演劇を愛する人間なら、そこにひと手間加えたいと思うものです。


演劇のチラシは、その公演に関わる表現者たちの「情熱」なんですよね。
僕らはその情熱を摺りこんだチラシをお預かりして、お客さんに届ける仕事です。
であれば、ロビーで手渡すものは、チラシ束ではなく、「情熱」なはずです。
二次元の紙にひと手間加えて、表現者たち、そして僕らの気持ちを吹き込んで、
その気持ちをお客さんに届けることができて初めて、
チラシは本来の意味を持ち、僕らの仕事の意味もあるのだと思います。

ロビーでの配布業務は、多くのお客さんの反応や言葉や表情を見て聞くことができます。
すると、会社で見慣れているはずのチラシ束の本来の役割を思わずにはいられなくなります。




「俺たちは品物を売っているんじゃない、情を売っているんだ。」

僕が7年前に書いた脚本に登場した、ある商店街の店主の台詞です。
“品物を買うだけなら、通販でもスーパーでも買える。
けど、俺たちは品物を買ってもらうだけじゃなくて、情を交わしている。
そこに商店街の価値がある。” といったような場面の台詞です。
なんだかふと、そんな自分が書いた言葉を思い出しました。


これからも、自分たちの仕事の本質と向き合うことができる、
学びの機会をもっともっと増やしていきたいと思います。



10月27日に千穐楽を迎えた『ウエスト・サイド・ストーリー』。
豊洲のステージアラウンド東京のロビー。
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お世話になっている皆様にお知らせです [社長の時間]

突然のお知らせになりますが、来月7月1日、
有限会社ネビュラエクストラサポート(Next)の代表取締役社長に就任することになりました。

演劇業界に身を置き始めてからもうすぐ20年、劇団を結成してから17年、
まさか業界全体をサポートする役目を担うこの会社の代表になるとは、
1年ちょっと前の自分は、これっぽっちも思っていませんでした。

そもそも、演劇を生業にしたいと思った動機は、
自分も周囲のみんなも、お互い心を通わせ、のんびり生きられる社会になればいいのに……、
演劇ってなんだか、それに近づける方法なんじゃないかなあ……、
そんな確信とは程遠い漠然とした直感だけだったと言ってもいいくらいで、
そんな直感から始まった演劇人生が、20年も続くとは自分でも若干驚いています。

その漠然としたものは、相変わらず漠然とした状態が続いていて、
「これをすれば、必ずこうなる!」といった自信めいた要素は正直ありません。
だからこそ仲間と肩を寄せ合い、人間のさまざまな魅力を実感しながら、
自分の夢を追いつづけることができるのかも知れません。
皆様、何卒これからもよろしくお願いいたします。

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以下、社長就任にあたってのご挨拶です。


「不器用を究めます」

前身の会社ネビュラプロジェクトが始めたチラシ折込代行サービス。
今でも当社の主幹事業であるこの仕事は、
公演制作業務の合理化を推進する事業としてこれまで歩んでまいりました。
舞台業界の多くの表現活動をサポートする経済活動を行う以上、
合理化や利益追求といった要素をないがしろにすることはできません。
しかしながら、そういった器用な立ち居振る舞いを行おうと思っても、
表現活動そのもの、そこに惹かれた人々の思考方法、
そもそも人間という生きものの非合理性までを捨て去ることはできません。
経済成長期の競争原理で合理化を追求すること自体、
人間にとってはナンセンスなのかも知れません。

私たちが生まれた日本には美しい四季があり、
その移ろいの中で私たちは育ち、老いていきます。
人に喜んでもらい、その人から喜びをいただく、
という「人が集う幸せ」に溢れた舞台芸術の世界は、
そうした豊かな自然や独自の文化によって育まれてきました。
そこに携わる一員として、
舞台芸術の魅力を一人でも多くの方にお届けできる会社になれるよう、
私たちは社員自ら自然や文化から多くを学び、
社員どうし、そしてお客様お一人おひとりと向き合い、
人間が持ち続ける不器用を究めてまいりたいと思います。

緑川憲仁

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新しい日々 [社長の時間]

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演劇業界振興カンパニーのNextも今日が新年度初日、
今年の春はフレッシュな女子社員2名が入社、
会社全体に爽やかな風が舞い込んできました!
先輩スタッフの顔もいつもとは全然違っていて、
やはり人は人と影響し合って、生き生きするんだなあと。

Nextは年末から12名の新しいメンバーが加わって、
社内の至るところで活発なコミュニケーションが飛び交っています。
有志の部活「俳優部」が発足、俳優部の提案で朝はラジオ体操から始まり、
アルバイトスタッフが中心で運営される「そうじ部」が出来て、
社員やアルバイトの立場関係なく、会社のビルをきれいに磨いて、
それから、オフィス内は緑化が進み、潤いある職場に変わってきています。
みんなの想いが行き交うと、俄然とても愛おしい会社になりますね。
誰か一人が頑張るんではなくて、みんなで支え合い助け合う、
劇団もそうですが、これこそ「チーム」の醍醐味の根本だと思います。
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業務に目を向ければ、3月30日から豊洲の新劇場「IHIステージアラウンド東京」の
劇団☆新感線『髑髏城の七人~Season花~』にて、
Next史上初となるチラシ束配布業務がスタートしました。
これまでは舞台制作者のサポート、というスタンスに徹し、
劇場などで観客の皆さんに対して直接行なうサービスはありませんでした。
つまり、業務上Nextのスタッフが観客の皆さんの表情を見られる機会もなかったわけで、
あらためて演劇の魅力、人が集う場所の魅力を体験できる機会を頂くことができて、
主催のTBSさん、劇団☆新感線さんに心から感謝です!

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Nextのスタッフがチラシ束をお配りするのですから、ただ紙の束を配るのではなく、
プラスαのメッセージを心を込めてお届けしてまいりたいと思います。
あ、この劇場の客席は、360度回転する日本初のとんでもない劇場でございます。


これからもNextは、企業理念と同じく「どこまでも、人が集う幸せを求めて」、
メンバー自ら人が集う幸せを体現しながら、演劇の魅力を広く発信してまいります!
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3月攻勢 [社長の時間]

いつでも攻めの人生のつもりで生きているけど、
今月はあらためて「攻め」を意識せずにはいられない。
劇団を17年続けてきて、演劇の会社もやっていて、
僕はやっぱり、他人との協働から大きな影響を受ける性質らしい。
退職したにもかかわらず助っ人として戻ってきてくれた仲間。
しばらくのお休みから復帰した仲間。
20歳近く年下の新たに加わった仲間。
その仲間みんなの力を引き出すのが僕の喜び、それが僕の仕事。
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席替え [社長の時間]

ダイヤ改正や内閣改造が好きな緑川ですが、
そういえば、小学生の頃、学期ごとに行なわれた席替えも好きでしたね。
先生によって、その都度いろんな決め方がありましたが、当時の僕は滅法、強運のぬしで、
「この子の隣になりたいなあ」という願いは、なぜかほぼ叶っていました。
でも、いざ隣どうしになってみると、思いも寄らないことが起きました。
嬉しくて心のどこかで調子に乗ってるものだから、授業に散漫になって先生に叱られたり、
不意に問題を解くように当てられて、答えられなかったり、
カッコイイところを見せたいのに、むしろ逆の姿を間近で見られることになってしまいました。
好きな子の隣というのは、あまりに贅沢で、だからこそたくさんの罠があるのかも知れません。
40歳にもなって、そんな昔の席替えを思い出しました。
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