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今月のお題「20周年ファイナル」 [きゅ~め~るのお題]

毎月9日はシアターキューブリックのメールマガジンきゅ~め~るの配信日。
劇団メンバーが同じお題でブログを書く日でもあります。
今月のお題は「20周年ファイナル」。


2000年2月27日に結成したシアターキューブリックは、今月末で結成23周年を迎えます。
日頃から応援してくださる皆さまにあらためて感謝申し上げます。
というわけで今年で23周年なんですが、
実はいまだに「結成20周年なんちゃら」みたいなことをやっております(笑)
このダラダラ感がシアターキューブリックらしいといえば、らしいですね。


でも当初はそんなダラダラやるつもりはなかったんですよ。
結成20周年の2020年の春に『幸せな孤独な薔薇』を、
同年秋に『葡萄酒いろのミストラル』をバシッと決めて、
次へと進んでいこうと計画していました。



シアターキューブリック結成20周年記念公演第一弾
『幸せな孤独な薔薇』
作 田嶋ミラノ  演出 緑川憲仁
2020年4月9日(木)~4月15日(水)(公演中止) → 2021年5月20日(木)~26日(水)
浅草九劇

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まさか武漢やダイヤモンドプリンセス号のニュースが、
その後、世界中をこんな長く大変な状況に陥れるとは思ってもいませんでした。
4月の上演がどうなってしまうのか不安を抱えたまま稽古と公演準備を着々と進め、
ですが順調な稽古とは反比例して、世情はみるみる悪化していきました。
3月に公演を予定していた団体は、次々と公演中止を発表し、
どんなに厳重な予防対策を施そうとも、
もはや上演をすること自体が「悪」のような空気にさえなっていきました。
そして『幸せな孤独な薔薇』は本番初日8日前に公演中止を決めました。
そのことをメンバーに告げた日に行なった通し稽古のことは、今でも忘れられません。
悔しいとか、哀しいとか、やるせない、とかそういうことじゃなくて、
作品を積み上げてきた仲間たちと、
これまでとは違う次元でひとつになれた気がしたのです。
それなのに愛するお客さんの前に行くことは叶わない。


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▲公演中止を決めた2020年4月1日に行なった通し稽古でのカーテンコールのリハーサル。



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▲同日、通し稽古後の集合写真。



不思議な感じでしたね。
寸断された道のどんづまりで、最高の作品づくりに立ち会ってしまうということ。
そして、連続して秋に公演を控えていた『葡萄酒いろのミストラル』も
早々と上演を一年繰り下げる判断をしました。


翌2021年も新型コロナウイルスはまだまだ収束の気配を見せていませんでしたが、
感染の波の間隙を縫うように『幸せな孤独な薔薇』は奇跡的に上演をすることができました。
ただし、収容人数は規定の半分以下、舞台と客席最前列も大きく距離を置き、
かつ最前列の席の方にはフェイスシールド着用をお願いするという厳戒態勢。
今思うと、せっかくのお芝居を大変申し訳ない環境で観劇をしていただいていたなあと、
あらためて心が痛みます。
1年ぶりに再集合したメンバーは、同じ傷を負った同志になっていました。
一度は通し稽古まで出来上がっていた作品を、一年ぶりに組み立ててゆく稽古は、
いったいどれだけの時間を必要とするのか見当もつきませんでしたが、
蓋をあけてみると、恐ろしいほどのペースと濃さで立体化していきました。
心の底から「役者ってすげえ……」って毎日思っていました。
そして役者たちをそうさせてしまう作品を書いた田嶋ミラノさんの引力を感じていました。


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超個人的な感情としては、キャラメルボックスの(あの)西川浩幸さんと、
東京ハートブレイカーズの(あの)首藤健祐さんが同じ作品に出ていて、
その作品が僕の大大大好きな『幸せな孤独な薔薇』で、
僕がそれを演出しているという現実がとうとう最後まで不思議な気持ちでした。
冥途の土産とはこういうことを言うのだろうなと。










2021年秋に繰り下げていた『葡萄酒いろのミストラル』は、
その後感染症拡大のためにふたたび公演延期を余儀なくされました。
このころには「公演延期」という苦渋の決断さえも、少し慣れてきた自分がいました。
おそらく、そうでもしないと心が持たなかったのだと思います。





シアターキューブリック結成20周年記念公演第二弾
『葡萄酒いろのミストラル』
作・演出 緑川憲仁
♪メインテーマ 岡村孝子「ミストラル~季節風~」
2020年10月21日(水)~25日(日)(公演中止)
→ 2021年10月20日(水)~24日(日)(公演中止) 
→ 2022年5月27日(金)~6月1日(水)
恵比寿・エコー劇場

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『葡萄酒いろのミストラル』公演再延期を決めても、
僕らは「準備の時間をたくさんもらえたのだ」と思うようにして、
喜々として準備を進めていきました。
きっとこういう心が、おのずと作品にも表れると知っているからでしょう。
宣伝写真の撮影では、大自然のなかキャストの仲間たちとも会って、
作品のふるさと、岩手県の花巻にもあらためてご挨拶に行きました。


残念ながら2022年も新型コロナウイルスは元気でした。
でも今度は『葡萄酒いろのミストラル』の企画を止めることはしませんでした。
桜の咲く季節に稽古をスタート。
初めて集まる役者陣なのに、まったくそんな感じがありませんでした。


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稽古場以外でのメンバー同士の交流は一切諦め、
感染症対策に翻弄されつつではありましたが、
主役を務めた高橋茉琴以下、作品のもとに一致結束。
前回公演に続いて「役者ってすげえ……」と感じる稽古稽古。そして本番。
僕はどうしてこんなに俳優陣やスタッフに恵まれているんだろうと、
とてもありがたく、とても申し訳なく、思う日々でした。

すでにこの時、劇団結成から22年が経過していましたが、
結成20周年を記念するに相応しい二公演をお届けできた気持ちでいます。





そして来月、映像上映ではありますが、
この二つの作品をふたたび皆さんと一緒に楽しもう!という企画が決まりました。
「リビングで公演DVDを観るのでは、本来届けたい舞台の臨場感が届けられない」
という理由でシアターキューブリックではDVDを敢えて販売していません。
でも「過去の上演作品にまた出会いたい」という声に応えるかたちで考えたのが、
シアターキューブリックの二次元スクリーン劇場。
大スクリーン&大音響の空間で、舞台の臨場感とはまた一味違う迫力で、
みんな一緒に作品を楽しもう!という「二次元公演」。
舞台を作る過程でも「リズム」にこだわっているシアターキューブリック。
そのリズムが、粕谷晃司さんと松宏彰さんのディレクションを通し、
映像のリズムとなって表現されています。

演劇はやはりナマに限ります。
それはこの先も変わりません。

でも演劇の新しい楽しみ方は、あるんです!
舞台の真上に客席を置くことはできませんが、
二次元スクリーン劇場では、
劇場の客席からではけっして観られない角度からも作品を楽しめます。
ぜひ、演劇の新しい楽しみ方を体験しにいらしてください!




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シアターキューブリック 二次元スクリーン劇場
20周年記念ファイナル~気づけば23年経ちました~

特設サイト
https://qublic.net/2jigen23/

2023年3月18日(土)
会場:本所地域プラザBIGSHIP
東京都墨田区本所1-13-4

劇団結成20周年記念ファイナルイベント!
2021年上演の『幸せな孤独な薔薇』と2022年上演の『葡萄酒いろのミストラル』が二次元スクリーン劇場として蘇る!

※『二次元スクリーン劇場』とは!?
複数のカメラによる撮影に映像作品ならではの演出を加え、ライブとは異なる臨場感溢れる劇空間を体験できるイベントです。

<第一部> 13:00開演
『幸せな孤独な薔薇』
作:田嶋ミラノ 演出:緑川憲仁
トークショー+本編上映(あわせて約130分)

●トークショー出演者
眞実 坂本実紅 首藤健祐 緑川憲仁 千田剛士


<第二部> 17:00開演
『葡萄酒いろのミストラル』
作・演出:緑川憲仁
トークショー+本編上映(あわせて約150分)

●トークショー出演者
高橋茉琴 品川ともみ 野原のぼ 緑川憲仁 片山耀将


チケット(指定席)
一部・二部のみ 3,500円
通し券(前売のみ) 6,000円
当日券は +500円 
※受付開始は開演45分前、開場は30分前です。

チケット発売中!


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