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今月のお題「帰ってきた幸せな孤独な薔薇」 [きゅ~め~るのお題]

毎月9日の劇団メルマガ配信日にやってくるお題ブログ。
今月は、いよいよ1か月後にリベンジを控えた『幸せな孤独な薔薇』について。

お題には確かに「帰ってきた」と付いていて、
僕らの感覚では完全に「帰ってきた」気持ちなのですが、
皆さんにお届けできる寸前に公演延期となってしまったので、
お客さんからすると「初めての幸せな孤独な薔薇」ですね。


昨年の4月に上演する予定だったこの作品は、
新型コロナウイルスの影響によって公演延期となりました。
1年を経ての初上演のはずなのに、僕の体感では5年ぶりに再演をするような感じです。

というのも、公演延期を決めた昨年の4月1日は、公演初日の8日前。
稽古は佳境も佳境。この日も何度目かの通し稽古を行なっていました。
公演延期をチームのみんなに伝えたうえで行なった「最後の」通し稽古は、
本番にまったく劣らぬ俳優陣の神通力のような空気に支配されて、
この日の稽古を終えた後は本番を無事に終えたような気持ちにさえなりました。
あるいは自分で自分をそのように言い聞かせていたのかも知れません。

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▲公演延期を決めた日に撮った『幸せな孤独な薔薇』キャスト集合写真。


その後の1年は「不要不急」をめぐるエンタメ業界全体の沈没危機との格闘でした。
目に見えない新型ウイルスという敵を前にして、僕らの劇団は言うに及ばず、
ライブエンターテインメントはあまりにも無力でした。
人が集まらなければ作品を創ることもできず、お客さんに見せることもできない。
表現者たちは知恵を絞って代替策を捻り出しましたが、
それらの表現が本来創り出したいものなのか?と問われれば、
本音は「NO」という人のほうが多い気がします。
「エンターテインメントは不要不急」という意見も少なくないことは事実で、
であるならば、そうではないと思う人たちの手で、灯を絶やさぬ努力をするほかない、
ただその一心で、暗中模索を続けた1年でした。まるで5年くらいに感じます。

その間、シアターキューブリックの活動を、そして『幸せな孤独な薔薇』という作品を、
大事に思ってくださる多くの方々から厚いご支援・ご声援をいただき、
一年を経ていま、上演に向けて助走を始めたところです。



誰もが初めて向き合うことになったこの一年超の日々は、
エンターテインメントに携わる僕たちにどのような変容をもたらしたのか、
僕たち自身もまだ分かりません。
ここまで存亡が危ぶまれる状況から這い上がろうとする一作目の作品なわけですから、
いつも以上に、爪を立て、何がしかの跡を残すんだという本能が働かないはずはありません。
自分たちが、そしてこの作品が、どのように変化を遂げているのか、
少しだけ不安で、ものすごく楽しみ。
それが、今の心境です。


「少しだけ不安で、ものすごく楽しみ。」

これから生きていくうえで、ずっと大切にしたい気持ちと似ています。



『幸せな孤独な薔薇』の公演サイトがオープンしました!
https://qublic.net/20shiawase/

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